ギリシャ財政は延命しました。
これがただの延命に終わらず、しっかりとした更生への軌道に乗ってくれればいいのですが現段階ではまだよくわかりません。
従来と同じように根本問題の先送りをして目先的な弥縫(びほう)策止まりなのかもしれません。
そもそもギリシャ危機の本質は、ギリシャの「弱い経済力」にあると思います。
財政赤字ももちろん大問題ですが、そうならざるを得なかったギリシャの経済力・産業力・技術力等が劣っていることに何らかのメスを入れなければ、本質的な解決には至らないと思います。
つまり、もっと稼げる国にしなければいけない ということですね(←企業経営でも同じで稼げなければ生き残れません)。
もっとも、それはギリシャ自身が行なうことであって、他国がどうこうとはできないことです。
逆にいうと、そこに問題解決をするのに時間がかからざるを得ない原因がある・・・とも言えそうです。
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今回ユーロ問題で気づかされた「カベ」があります。
ギリシャの主要産業は農業・観光・海運です。
時代が違えばこれでも十分高い付加価値を生み出し、外貨を稼ぎ、内需も発展することができたのかもしれませんが、今の時代ではなかなかお金を稼ぎだす国の体勢にはなっていないようです。
そこに赤字を膨らませてきた原因があると思います。
その結果、同じ通貨を使っているのにドイツなど他のユーロ国と比べたときに経済力格差が開く一方となり、問題をややこしくました。
(ユーロという)単一通貨圏に属するということは、そこには為替市場が存在しないことを意味します。
すると、たとえ経済競争力の強い国と弱い国があったとしても結果的に大きな経済力格差が生じたままとなり、また誰も是正・標準化してくれません。
そこで、それを補完して客観的・統一的見地から機能させる何らかの機関が本来は存在していればいいのですが、現状ではそれがあるようでない・・・そこが一つの大きなカベなのだと思います。
たとえば、日本国内では同じ通貨(=円)でもちろん通用しますが、地域によって経済格差等はどうしても生じてしまいます。
日本の東京と他の道府県とで比べれば、所得も支出も差があります。
ただ、同じ日本という国だからこそ政府主導の元で地方交付税を支出したり、その他いろいろ干渉して是正を図ることができます。
そして、国民の側もそれを受け入れるべきところは受け入れて、そうでないところは反発するということができるようになっています。
統一通貨をもって国を統(す)べる・・・というのは、言語・文化・風習などが統一されていない場合においては、全範囲網を敷ける中央機関の存在が不可欠なのかもしれないですね。