お金持ちは蓄積した資産額が多いだけに、自分が死んだ後の処分についていつも頭のどこかで考えています。
一番ラクなのは、思い切って「全額寄付をする」という方法です。
これだと簡単にできます。
ところが、家族を持っているお金持ちの人は、やはり残された遺族の生活を案じて全額寄付とはできないものです。
遺族が若ければ自力で働いてお金を稼ぐこともできますが、長年連れ添った配偶者など、ある程度の高齢者であれば働くことなんてできないでしょうから、やはり生活に困らないだけの金銭を遺してあげたいと思うものです。
そこで発生する悩ましいものが相続であり、「相続税」です。
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子どもに承継させる場合、遺した金融資産や実物資産は結局のところ「資産移転」という事象が起きます。
生前贈与なのか相続なのかは別として、お金持ちから我が子への資産の移転ということには必ず「税金」という厄介なものがつきまといます。
税金をかからないようにする方法が世間でいろいろ紹介されていますが、時代の変遷に合わせて常にイタチごっこみたいなものです。
お金持ちの親が子どもに何かを残す方策としては、単純な「資産移転」以外に、時間はかかりますがこんな方法があります。
それは「教育投資」です。
子どもに多額な教育投資を施せば、子どもは良い教育を受けたことで「自立性」「自助収益力」が身に付き、稼得能力が高くなる可能性大です。
ここで言う「良い教育」というのは必ずしも偏差値の高い学校に入学させるという受験勉強のことを指すわけではありません。
全人教育的なもので、人間力を高め、サバイバル能力を高め、ビジネススキルを高めるような教育を指します。
子どもへの教育投資をすれば、必然的に親の持っている資産(金銭)は減ります。
反対に、教育投資を抑えれば死亡時の遺産額は増えます。
言い方を変えれば、お金持ちの財産承継は資産移転で行なうのか、それとも子どもへの教育投資で行なうのか?・・・という選択でもあるわけです。
そして、お金持ちというのはこうしたことを自分なりに早期に理解して、両者をバランスよく行なおう・・・と心がけます。
中にはうまくいかない失敗例もあるかと思いますが、概ね成功するパターンが多いように思えます。
お金持ちの財産承継法は、子どもへの教育投資と合理的・合法的方法による資産移転の両輪で行なうこと・・・がその極意だと思います。