日本は欧米に比べるとどちらかと言えば報酬の「後払い」が制度として用いられてきた感があります。
それが日本独自の年功序列と終身雇用と見事に合致して機能してきたのだと思います。
つまり、終身雇用前提を労使ともに了承していたからこそ、報酬をその時すぐに支払わなくてもサラリーマンは特に不満を漏らさず、年功序列で年を追うごとに給料がカーブを描いて増えていく仕組みが機能したのだと思います。
サラリーマンは不満があってもその会社を辞めずにガマンして長く勤務し続けた・・・わけです。
最後には、「退職金」というまとまった大きな額の報酬が待っていて、そうした「後払い」による支払いをあてにして昭和世代は日々頑張ってきました。
さらに、一部の人は退職した後も「天下り」という恩恵を得る人もいたり、公的年金もたくさんもらえて老後の生活は心配なかったわけです。
それが、平成になってからどんどん制度のひずみばかりが強調されるようになり、連れて報酬の「後払い」は徐々に「そのとき払い」へ変化してきた感があります。
後払いのために用意しておいたお金を、生活世代である20~40代にサッサと分配して、「後は自己責任で管理してね・・・」という前提に変わってきたと思います。
ところが、肝心のこの「後は自己責任で・・・」という部分が人の意識から欠落してしまって「あったらあるだけ(ある分)を使う・・・」という消費・浪費がふんだんに行われてきたと思います。
そのために現役世代の貯金額は一向に増えず、中には逆に借金を背負って二進も三進も(にっちもさっちも)いかなくなる人が出てくる始末です。
大事なポイントは、企業の賃金の支払いのトレンドが「後払いからそのとき払い」へ移ってきているということ・・・です。
最低賃金の引き上げ騒動も、背景にはこうしたことが隠されていると思います。
以前にも増して大事なことは「お金に関しては自己責任で管理すること」にあります。
この傾向が良いのか良くないのかは何とも言えませんが、傾向としてまだまだ続く・・・であろう・・・ということです。
微妙に変化しつつ進化形がこの先生まれてくると思いますが、「そのとき払い(一種の前払い)されたお金を自己責任で管理・運用する」ということはとても重要な時代に今後ますますなっていくと思います。