昔、松下電器産業(=通称・まつした)は「まねした」と揶揄されたりもしました。
それほど他社商品の後を追って、マネをして、自社ブランドの新商品として販売していたわけです。
その代わりに、他社製品よりも高品質で使い勝手の良い商品であったことが消費者には受けていたのだと思いますし、だからこそあれだけ販売実績・売上高も伸びていたのだと思います。
社長の松下幸之助は「経営の神様」と称されるほどの人ですから、自社がマネをして販売する手法をとるなら、他社だって同じようにマネをして販売する手法をとる・・・ということくらい十分にわかっていたと思います。
でも、そうすることで市場が活性化して、消費者にとって高品質で安価な商品を世に送り出すことがますますできるならそれで構わない・・・とも考えていたと思われます。
松下幸之助は、商品自体は容易にマネされる時代だと理解したうえで、経営にとって重要なのは「商品そのもの」ではなく「商品をいかにして売るか」のほうにあると考えたのかもしれません。
つまり「販売する仕組み作り」です。「何を売るか」ではなく、「どのように売るか」・・・ということです。
そう考えて、松下氏はナショナルショップ(系列販売店)を全国にネットワーク化していったのだと思います。
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「仕組みをつくること」は、会社経営において、またその役割を担っている経営者にとって、とても重要なことです。
一つの手法が「ネットワーク化する」というやり方です。
「ネットワーク化する」ということは、「いかにして需要のある価値・商品を多くの人に提供し続けるか?」・・・に対する答えを探し続けることでもあります。
ビジネス/事業を行なう際に、多くの経営者は取り扱う商品やサービスの良し悪しばかりに意識を向けます。
確かにそれも大事です。でも、その素晴らしい商品を「素晴らしい商品であることを消費者に認識してもらいつつ、消費者の手元にキチンと届ける」ことも大事です。
「何を売るか?」・・・を考えたら、次は「いかにして売るか?」を考える、ということです。
経営リーダーはこの「売るための仕組みづくり」にこそ価値があることに気づき、自分がまさにその重要な役割を担っていることを認識する必要があると思います。
そして、その仕組みづくりの究極の状態は、「そうしたことに気づける経営者(=自分)がいなくても会社経営が順調に成り立つ(機能する)」・・・という状態だと思います。