1980年代後半に蔓延した日本の不動産バブルの時は、都心の不動産の賃貸利回りが2%以下だったそうです。
当時の借入金利は6%前後ですから、とても「融資を受けて不動産を購入して家賃収入を得る」というビジネスモデルは成立しません。
それでも融資を受けて(借金して)不動産を購入する人・会社が後を絶たなかったのは、偏えに「転売して売買差益を得ることが可能だったから」・・・です。
それは投資ではなく「投機」です。
つまり、当時の不動産バブルは「不動産投機」によって成されていたわけです。
純粋に保有しているだけだと2%の利回りしか得られない不動産をその3倍も高い6%もの調達金利でお金を借りて購入する・・・とは今考えれば相当に異常なことですが、当時は「それが当たり前」だったので、日本中がバブルに酔いしれていたのだと思います。
当時は「投資価値」よりも「投機価値」を重んじる風潮が強かったから・・・だといえます。
でも、その結果、多くの人がバブル崩壊の荒波を浴び、倒産・破産の道を歩むことになった・・・わけです。
バブルとは、基本的に「本来の価値を超えたレベルに取引価格が上がっている状態」です。
ここで言う「本来の価値」には「投資価値」と「投機価値」とがあり、そのいずれを優先して考慮するかが判断の分かれ目になります。
不動産に関して言えば「本来の価値」とは、やはりその不動産を所有していることで得られる金銭の額を元にするほうがベタ―だと思います。
すなわち「家賃収入の額」で、これは「投資価値」のほうに重点を置く考え方です。
なぜなら、不動産には取引市場がなく、相対取引が基本となっているからです。
翻って今の時代はどうなのか?
→ 都心部では収益利回りが5%前後とも言われていますが、1980年代と大きく異なるのはその調達金利が2%前後で収益利回りの半分前後に落ち着いている点です。
だから、今はあえて言うなら「不動産バブルではない」と言えそうです。
投資利回り > 借入金利 の「順ザヤ」状態であれば、正常だと言えます。
要注意なのは、これがいつ、どの時期に逆ザヤ現象に転じるか?・・・です。
あるいは転じる日がは来ないかもしれません(そう願いたいものです)。
私はその点を定点観測することで不動産バブル来訪の未萌を探り、人の行く道の裏を行くのが良いと思っています。