政府が造幣や造貨を大量に行うことは、日常品の価値に対するお金の比率が上昇してしまうことにつながり、これは見方を変えて言えば「インフレ率が上昇しお金の価値が相対的に下がる」ことを意味します。
問題は、その程度加減・・・です。
多少のことであれば、そんなに気にする必要はないと思いますが、暮らしに影響を及ぼすほどの大きなもの(インフレ率など)であれば、留意し、自衛手段を講じることも必要です。
例えば年8%のインフレ率の継続は、現在の1000万円が10年後には4,631,900円、20年後には2,145,500円円、30年後には993,800円の価値しかなくなることを意味します。
つまり、なんだかんだと言って8年から10年ごとにインフレによって「現金で持っている富」は半減してしまう・・・ということです。
短期間では気にならなくても、長い目で見ればそれなりに気になる金額だと思います。
実際、今現在ではほとんどの人は何も心配していないと思いますが、ところが中には目敏(めざと)い人もいて、「若干の心配をしつつ、その心配を払拭するための行動」を起こしています。
・・・・・・・・・・・・・・・・
たとえば、タンスの引き出しに後生大事に1億円を隠しているとします。
そして、インフレ率10%が10年間続いたと仮定します。
10年後、確かに自分のタンスの引き出しには同じく1億円が隠されています。
でも、この1億円で何かを買おうとしたとき・・・、たとえば今現在(その時点で振り返ったときの10年前)1億円で買えたであろう東京のマンションはもう既に買えなくなっています(理論上は)。
なぜなら、昔のままの1億円の価値ではなく、昔の39%分の価値しかその1億円にはないからです。
言い換えれば、今現在の1億円は、10年後に61%も価値が低下していて、今の価値に直すと3900万円分しかないことになります(あくまでも10%のインフレが10年続いたという仮定の話です)。
これが、インフレリスクです。
今の話はあくまでも仮定の話なので、インフレ率10%の継続は今の段階ではまだまだ非現実的です。
ただ、理論として頭に入れておくことは大事だと思います。
将来に起こりうるインフレリスクをある程度は認識して、それに対抗するための保険・担保を「購入・設置」しておくことが自助努力になります。
そんな状況が起こらない/起こるはずがない・・・というのは、ちょっとした錯覚・傲慢かもしれません。
時代は一寸先は闇・・・であり、何事も「絶対」はないからです。
少しでも可能性があると信じられるときは、それを無視せずに、頭の隅っこに入れて対処方法をあらかじめ練っておくことが大切です。
それがリスクヘッジの王道です。
今後5年〜20年にどれくらいのインフレが予想されるか?・・・も大切ですが、
それよりも「既に始まっているインフレの悪影響から自分や家族を守るために自分
は何ができるか/何を成すべきか?」と発想するくらいでちょうど良いと思います。