悪質タックル問題で揺れる日本大学ですが、日大教職員組合は5月31日に、内田前監督の常務理事などを含む全ての役職辞任・解任と、田中英寿理事長、大塚吉兵衛学長の辞任・解任を求める要求書を田中理事長宛てに提出したそうです(その後、内田前監督の常務理事辞任だけは確定)。
「ハラスメントの温床にもなる上意下達の権威主義的な体質、権限・権力が1点に集中するピラミッド型の組織構造のあり方」が問題の根幹にあり、そこに日本大学が抱えている改善すべきさまざまな闇がある・・・ということのようです。
また、教学の現場を知らない人が理事長や常務理事を務めていることで、現場とはかけ離れた体制になっていることも問題視している・・・と。
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紀元前509年まで、ローマは王政が敷かれていました。つまり絶対権力者である王様がいたわけです。
ところが、その体制はやがて打倒され、市民による共和政の政治体制が敷かれるようになりました。
ローマでは紀元前の頃に、現代の多くの国家が行き着いた「皆が権利を持って、皆で決めよう」・・・という政治システムが出来上がっていたことになります。
「皆で決める」・・・政治の世界でそれが行き着いたのが「民主主義」と呼ばれる今の形態です。
企業や組織が停滞気味になってくると、「強力なリーダーシップを持つ人が必要だ」とか、「即断即決の統率者が望まれる」・・・などと言って、そこから一人の救世主が現れ、新体制が敷かれていきます。
ところが、最初は救世主であっても、その人の権力濫用期間が長くなると、やがて「ワンマンで権力が集中するのは良くない」とか、「皆の人格や存在が蔑ろにされている」とか、「ピラミッド構造自体が良くない」・・・などと非難の声が強くなり、時には体制がひっくり返ることがあります。
歴史はそういうことを教えてくれます。
皆で決めていくのが良いのか、それとも強いリーダーシップを持つ人が決めていくのが良いのか??・・・このバランスが組織論では重要で、常に問われ続けるところです。
諸行無常・・・驕る者久しからず・・・の世界です。
組織を率い、組織力を良い方向に発揮していくためには「権力よりも権威」が必要ですし、また「私的な力よりも公的な力」が大切で、「恐怖よりも尊敬」の念が重要だと思います。