世界的ベストセラー『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)/ビル・パーキンス』という本には、「もし子どもにお金を残したいなら、死ぬ前に与えよ」・・・とあります。
簡単な理屈です。
子どもの立場で言うなら歳を取ってからお金をもらうより、若い頃にもらったほうが使い勝手が良いからです。
若い頃はとにかくお金が足りない/やりたいことやほしいモノに対して自分が使えるお金が足りない・・・ものです。
体力もあるから旅行にも行けるし、夜通し遊ぶこともできるし、美味しい物もたくさん食べられます。
人との交わり、遊行費用もたくさん使いたいのが若い頃の心情です。
でも、若い頃は肝心のお金が不足している・・・だからもらえるものなら早くお金をもらったほうがありがたい(助かる)・・・というわけです。
歳をとって60代・・・70代になると、気持ちは前向きでも身体が衰えて長時間の移動はしんどくなるし、食事の量も減るし、何時間も動き回ることもできなくなるし、徹夜なんてほぼ無理な状態になってきます。
つまり、30歳のときに受け取る1000万円と、60歳のときに受け取る1000万円では感じられる価値が全然違うわけです。
歳を取ると、若い頃に比べてお金の使い道がかなり限られてきます。
言い換えると、人がやれることには消費期限があって、20代・30代のそれと60代・70代のそれとは大きく異なる、ということです。
やりたくてもやれなくなるので、せっかくもらったお金なのに嬉しさも価値も半減してしまうのは何とももったいない話になります。
お金の価値を最大化できるのは若い頃(20代~30代)だとすれば、親としては相続で子どもが歳をとった頃にお金を渡すよりも生前の早い時期に渡したほうが効果・価値は大きい・・・という考え方もあながち間違ってはいないと思います。
でも、親だって生きている以上はお金が必要だし、自分の遺産がいくらになるかなんて早期にわかるハズがありません。
また、むやみに子どもにお金を渡して甘やかすのもうまくないと言えます。
だから、子どもにお金を生前に渡すとしても、そのお金を消費活動にまわして「使ったら消えてなくなる」ということがないようにすることが肝要です。
→ 子どもが若い頃にお金を渡して(贈与して)、そのお金で子どもに「投資活動」をさせる・・・のが良いと思います。
マネーリテラシーを身につけさせる教育にもなりますし、投資活動で定期的にお金がチャリンチャリンと懐に入ってくれば子どもも嬉しいはずです。
子どもはまだ社会経験が浅いからお金を上手に活用できないと言えます。
そのためにも、親自身がお金の教養をしっかりと身につけ、子どもに教えてあげる(金銭教育をする)ことが必要になります。
つまり、親自身もマネーリテラシーを身につける必要があるというわけです。
子どもにお金を残したい・・・という親は多いと思いますが、ここまで真剣に考えたことがる人は少ないと思います。
でも、「自分が死ぬまでに使いきれなかった余りをあげる」のと、「子どもの人生を豊かにするためにあげる」のでは意味が大きく違います。
一つの考え方ですが、子どもがある程度の年齢になったらお互いに話し合ってみるのが良いと思います。