ベトナム戦争時にアメリカの国防省内で使用された「出口戦略」という言葉が、いつの間にか一人歩きをして今では経済用語としても用いられるようになりました。
「戦況が悪いときや被害が大きいときは、いかにしてその損失を少なくその場を収め、仮に撤退したとしても自軍を立て直して次の作戦に備えるようにすること」・・・がもともとの意味です。
不動産投資ではよく「購入した物件を売却すること」を出口戦略と呼んでいますが、私はこの出口戦略を考えることをあまり良しとしてはいません。
一般的に言われている「出口戦略」は物件の「売却」を意味しています。
「出口戦略」はもともと「戦況が悪いときや被害が大きいとき・・・にどうするかを考えることであり、不動産投資というのは「保有する物件を他人に貸出し、家賃収入を得ること」ですから、家賃収入が得られているなら「戦況が悪いときや被害が大きいとき」には当たりませんし、撤退する必要性がないからです。
投資における「出口戦略」は撤退して終わり・・・ではありません。
自分が売却した物件を購入したお客さまはどうするのか?!・・・も大事な点です。
自分さえ良ければいい・・・という考えだとこの「出口戦略」は有効なのでしょうが、そんな考え方では長くビジネスを維持して成長発展させることはできないと思っています。
それが、私の出口戦略を良しとしない理由です。
私は、基本的に消極的物件の売却は考えていません。
何らかの意図があって積極的に売却をするのは良いとしても、利益が出ないから/出なくなりそうだから今のうちに売っておこう・・・といった消極的売却は私の考えにはない、ということです。
まあ、人によってさまざざですし、出口戦略という概念を持つことも大切だと思いますが、やはり、不動産投資はビジネスの一種です(←不動産賃貸業です!)から、経営マインドの設定は大切なことだと思っています。