企業は営業活動を日々営んでいます。
その結果、売上が立ち、経費を差し引いて、利益が残ることで存続し続けられるわけです。
ところが「営業活動」というのは「お客さまに商品・サービスを販売する」ということですから、仕事として行なうにはそれなりに精神的な厳しさがあったりします。
そのため多くの人は営業の仕事に就くことを敬遠しがちです。
でも、私は若いときはそうした経験も有効で、営業活動を経験することでさまざまな艱難辛苦を味わうことも大切なことの一つだと思っています。
きっと後々の人生にプラスの影響を及ぼしてくれるハズです。
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私は昔から、販売/セールスという行為をいかにして精神的ストレスを感じずに行なうことができるか・・・を考えて営業の仕事に臨んでいました。
「買ってください/来てください/お願いします/安くしておきますよ」・・・といった類の言葉を使うと御用聞き営業マンに成り下がってしまうので、私は現役時代、頑としてこうした言葉を使わないで営業をしていました。
一種の自負とプライドです。
こちらからお願いをしてまで買ってもらおうとは決してするまい・・・と心に決め、一つの自分の芯としました。
だからこそ余計にそうしなくても買ってもらえるようにはどうしたら良いのか?をひたすら考えたわけです。
お願いしなければ買ってもらえないような商品・サービスの価値なんて高が知れていますし、おまけにお願いして買ってもらったらどうしても立場的にお客さまが上になって私は卑屈な態度にならざるを得ません。
むしろ、自分(自社)のほうが優位な立場にあって、上から目線でビシッと言ってあげるほうが気持ちがスッキリして後腐れが残りません。
これは「医者」と同じです。
医者は患者さんに「お願いします、この薬を飲んで(買って)もらえませんか」などと頭を下げることはありません。
「このまま放置していたら死んでしまいますよ、それでも構わなければ処方しませんが、早く治したいならこの薬を毎日朝・晩と一錠ずつ飲んでください」とか「次は2週間後に必ず来てください」などと言うわけです。
そして、患者は医者の言うとおりに行動し、最後は「ありがとうございました」と感謝のお礼を言って立ち去ります。
ここがポイントです。
営業でも、営業するほうがお客さまから「ありがとうございます」と言われるほうが仕事は楽しいに決まっています。
感謝される仕事をして気分が落ち込んだりイヤな気持ちになる人なんていないと思います(その逆ならたくさんいるでしょうが・・・)。
買ってくださいと売りに行くのが押し売り営業(訪問営業)だとすれば、売ってくださいと買いに来てもらう仕組みが理想的な営業(注文営業)です。
理想形は後者のほうですが、共に両輪となって機能すると会社はものすごく大きくなります。
売上が大きく伸びると言うことです。
どんな会社にも形式上は「営業部門」があると思いますが、経営リーダーの立場に就いている人は自社の仕組みや構造が「お客さまに買いに来てもらう」ように仕掛けられているかどうかを一度チェックしてみると良いと思います。