一般的に日本人は「交渉が苦手」と言われています。
文化として「和をもって貴しとする」が深層意識に組み込まれているからかもしれません。
つまり、「他人と争う/揉め事を生じさせる」ことを忌み嫌う傾向のほうが強いということです。
交渉して互いの気分を悪くするくらいなら、むしろ何もしないほうがベター・・・といった感じで、まるで自己主張をするのは良くないことだという価値観を無言の圧力によってインストールされている感じです。
周りの人を見てそれと同調する方向で波風立てずに目立たないように振る舞うことが良い・・・という姿勢が是とされてきた感が何となくあります。
プライベートの時間ではそれもアリかもしれませんが、ビジネスの世界ではそうもいきません。
サラリーマンの中には、何とか交渉せずに・・・でもこちらの気持ちも汲んでもらいつつ自分に有利なように話を進められないか・・・と調子の良いことを考える人がいますが、そんなことはまずもって起こり得ません。
自分(自社)に有利なように・・・ということは、裏返せば相手(他社)には不利になるということですから、これをすんなり認める人がいるわけ無い、と気づくことが大事です。
利害がぶつかり合えば、たとえそれが夫婦や親子の間であっても賛成と反対に分かれるのが世の常です。
そういう意味では、プライベートの時間でも、幼少のころから交渉の習慣を身につけておくほうが将来的には有効と言えそうです。
交渉する姿勢を身につけておかないと、いつの間にか自分(だけ)が非常に不利な状態になってどうしようもない瀬戸際に追い込まれたりする恐れ大です。
利害がぶつかり合うときは正々堂々と議論して決めるという意識を持つことは大切だと思いますし、そうしないと人生は徐々に自分にとって不利なことばかりまとわりつくようになると思います。
このとき、交渉で大事になることの一つは、自分の主張をいたずらに繰り返すことではなく、相手がなぜそんな主張をするのか?と相手の立場になって考えることです。
それは、相手が「何を」、「どこまで」欲しがっているのか、そして「その目的・理由は何か」を考えることで見えてくることも多いものです。
相手の事情が飲み込めないと落としどころを探ることもままなりません。
そのために有効な戦術は「相手にジャンジャン話をさせて、こちらは聞き手にまわる」ということです。
昔から「聞き上手は話し上手」とか「聞き上手は質問上手」などと言ったりしますが、聞き上手になっておくとサラリーマンとして仕事をしていくうえで(いや、サラリーマンでなくても!)かなり役に立つと思います。
いずれにしても「交渉」という単語を毛嫌いせず、若いうちから意識をしてそのスキルを身につけると良いと思います。