ビジネスは、「目に見える商品」を売るか、「目に見えないサービス」を売るかのどちらかです。
このとき、「サービス」は「ソフト」という言葉にしばしば置き換えられることがあります。
「ソフト」に対しては「ハード」という言葉が用いられたりします。
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よく耳にする言葉に「行政サービス」という言葉があります。
言葉自体は「サービス」なのですが、公務員の側にそもそも民間企業のビジネス感覚が欠落しているのか、「行政サービス」をソフトの部分ではなくて、ハードの部分でとらえていることがしばしばあるような気がします。
たとえば、行政サービスの開始を謳(うた)うときに「○○係という窓口を設置しました」とか「△△システムを導入しました」…などということを懸命にアピールしてきます。
でも、これらは民間企業で言えば単なるハードの設置に過ぎず、民間企業であればこれをソフトである「サービス」ととらえているところは民間であればほとんどない、と思います。
どんなに相談窓口を設置したとしても、その窓口という場所自体はハードであり、ここでのソフトとは「適切に相談できること」です。
それをカン違いしていると、「ハードを用意したのだからサービス提供はしているハズ・・・」となり、「ハズ・・・」で満足しがちです。
終いには、利用者がいなくていつの間にか窓口が閉鎖され、業務が打ち切られ、単なる税金のムダ遣いで終わることもあるかもしれません。
ハードはあくまでもソフトの目的を達成する手段でしかありません。
ハードの提供がサービスの提供であるかのようにカン違いをすると、サービスを見誤ります。
民間と公務員は違う・・・と言ってしまえばそれまでですが、どうせなら同じ言葉は同じ意味で使ってもらいたいし、そうしないとカン違いばかりが横行してますますサービスが悪くなってしまいます。
民間企業でも「○○サービス」という商品を提供する際は、ハード面ではなくソフト面に十分留意して対価のお金を得るようにすることが大事だと思います。