中途採用社員の中には、入社早々野心丸出しで、会社を自分の手で変えようと意気込む人がいます。
中途で採用されたのですから、そこには自分が採用される前からの社風や企業風土や社内文化があります。
そうしたことをむしろ尊重し、自分より長く勤めている他の社員たちを敬う姿勢が大切だと思います。
最初は余計なことをせずに傍観して、よくよく今の組織がどんなものなのかを知ることが大切です。
自分が思う以上に会社組織はできあがっているかもしれないし、またそれなりにちゃんと機能しているかもしれません。
特に、自分でゼロから組織をつくる力量も経験もないのに、たまたま前職で管理職に就いていたとか、前職が大手企業だったという程度のことで大きなカン違いをして、「すでにできあがっている会社組織」に「余計な口出し」をして、かえって組織を乱すようなことをしてはいけないですね。
後で「自分が変えた」とか「オレ様の力だ」と悦に入りたい下心を持っているとうまくありません。
そういう人は必ずボロが出て(=実力が出て)、周りから総スカン状態になり、結局再び中途採用で別の会社の求人を探すことになります。
一発屋狙いで短期的に人の目を引くよりも、長期に安定して徳と財を積み重ね、基礎を厚く固めて強靭な人材となるように努めることが大事だと思います。
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会社の代表的な財務諸表に「損益計算書」と「貸借対照表」があります。
「損益計算書」は一年経つと真っ新(まっさら)状態に戻ります。
会計士と雖も(いえども)、これだけを見せられてその会社(企業)の財務状況の良し悪しを判断することはできません。
一方、貸借対照表にはその会社の創業以来の実績がすべて載っています。
だから良いのか悪いのかがすぐに分かります。
短期的/一発屋的に企業の財務状態をどうこうしようとするのではなく、長期的/普遍的に安定した経営を心掛けることがリーダーには必要です。
特に、貸借対照表の右下部分(=自己資本の部)には、その会社が創業以来積み重ねてきた利益のすべてが蓄積されて貯まっています。
会社(企業)としてその金額を重要視することも大事ですし、これを個人レベル(家計レベル)に置き換えてチェックしてみることも大切だと思います。
30年以上続いてきている企業というのは、判で押したようにこの貸借対照表の右下部分の数字がそれなりに厚くなっています。
30年以上続いているということは、経営者の経営手腕がそれだけしっかりしていることを意味します。
それは経営者が目先の欲得で動いておらず、明確な企業理念や経営理念をもってブレない経営をしてきているからに他なりません。
企業経営も、人としての生き方も、その点では同じだと思います。
目先の欲得にこだわることなく、しっかりとした芯をもってブレずに生きていく・・・そんな心の姿勢が大切だと思います。