100年以上も前の話ですが、こんな事例があります。
→ ある建物を建てるため、大勢の職人がレンガを積み上げるという作業をしていました。
作業効率を上げるため、ときには職人の給与を上げ、ときには休憩を増やすなどして職人のやる気を高めていたそうです。
そんなあるとき、ある人が職人たちの動作をよく観察してたった一つのことを改善しました。
その結果、作業効率が一気に2倍になった!・・・とか。
その人が改善した「たった一つのこと」というのは、「レンガを置く容器の場所を高くした」・・・です。
どういうことか?
それまではレンガの入った容器は地面に置かれていました。
→ そのため職人たちは都度しゃがんでレンガを持ち上げ、(よいこらせと)立ち上がってレンガを積み上げ、またしゃがんでレンガを持ち上げ・・・を繰り返していました。
それを「レンガの容器を職人の胸ほどの高さに上げる」としただけで、職人はわざわざレンガを取るためにしゃがむ必要がなくなりました。
たったそれだけですが、「しゃがむ」という動作が無くなったことでどれだけ作業がラクになったかは想像に難くにない・・・。
しゃがむという動作を毎日何百回と繰り返していれば、それはそれは膨大な時間になります。
職人の人数が多ければその分を合算するとさらに膨大な時間の無駄になります。
加えて疲労もかなりのものとなるハズです。
職人を叱咤激励したり賃金を上げたり休憩時間を増やしたりすることなく、「レンガ容器の置き場所を変える」という手法で作業効率を2倍にすることができた成功事例です。
これはまさに、人/部下をコントロールするのではなく、作業の仕組みをコントロールすることで効率と効果を高めたと言えます。
会社ではさまざまな役職がありますが、管理職は効果を高めることが求められ、マネージャーは効率を上げることが求められます。
リーダーはその両方を兼ね備えることが大事です。
リーダーが行なうべきことの一つは、仕組みを変える/整えることで部下たちが効率よく結果を出せるように導くことです。
個々の社員の能力が高くても、会社の仕組みが脆弱で弱々しいものであれば、どんなに社員たちが働いてもあまり良い結果が出ない/成果が上がらない・・・ということになりかねません。
社員を責めず仕組みを変える/人を支配せず仕組みを支配する/社員のやる気を上げて成果を上げるより成果を上げさせてやる気を引き出す・・・という観点で見直しを図ってみるとそこから組織が良い方向に変化していくかもしれないですね。