プロ野球のスカウトマンでも高校生や大学生の中から将来の球団を背負って立つ優秀な人材を的確に見抜くことは難しく、その年で自分が一番に推す選手が必ずしも2番手以降の選手より優秀とは限らないものです。
有名なところでは、イチロー(鈴木一朗選手)が選ばれる前には実に40人もの選手が先にドラフト会議で指名されていたそうです。
当時オリックスがイチロー選手を指名したのは41番目、ドラフト第4巡めのことだったわけです。
選手を見抜こうとしているプロの人でもそうなのだから、単なる企業経営者がたった少しの時間の採用面接で将来のリーダーになる優秀な人を見抜けないのも仕方がないことです。
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採用した後(直後であれ数年経過した後であれ)、配属先を決めるときにその権限を持つ人は誰でも「適材適所」を意識します。
でも、実際はどの部署がその人の適所になるかは誰にもわからないのが本音です。
どうせ誰も人を見抜けないのであれば・・・、それを補う方法の一つとして「自分の辞令は自分で作って持ってくるように・・・」と指示してみるのも面白いかもしれません。
普通なら決してあり得ない話です。
そこを百歩譲って、ちょっと逆から考えてみて、「自分の辞令を自分で書く」という突拍子もないことをやってみると、もしかしたら何か面白いことが起きるかもしれません。
自分が取り組む仕事は自分で決める/辞令を上司任せ・社長任せにしない・・・といった感じです。
新しく出す〇〇支店の責任者は誰にすべきか?といったときに社内で立候補者を募る場合もありますが、これだって「辞令を自分で書く」ことの一例と言えます。
自分でその辞令を書いた(申請した)者の中から実際にその責任者を選出するケースはよくある話です。
本人の意気込みが決断や勇気や努力や工夫の差となって表れてきます。
別の角度から見ると、これは「チャンスを掴む」ことに該当します。
サラリーマンからビジネスマンになっていける人は、多かれ少なかれこうしたチャンスを自らの手でつかみにいく姿勢を持った人たちです。
つまり、心のどこかに「自分の辞令は自分で書く」という意識を潜ませている人たちです。
そのような社員にならなければむしろダメだ・・・というくらいの心構えがあっても良いと思いますし、経営者・リーダーも部下指導の中でそうしたことを伝えていくくらいがちょうど良いかもしれないですね。