上場会社のIR資料には一般的になじみの薄い難解な言葉が使われていることもしばしばです。
また、時代とともに言葉の使い方も微妙に変化していたりします。
たとえば、昔は「中間決算」という表現がありましたが、四半期制度の導入によって「第二四半期決算」という言い方に変わりました。
以前は「対前期比」というと「1年前の昨期と比較した場合は・・・」という意味でしたが、今では「前の期=四半期の4つに分けた期のひとつ前の期と比べて」という意味で使われたりします。
1年前の同時期と比較するときの言い方は「対前年同期比/対昨年同期比」などです。
つまり、「対前期比」というと直近3カ月前との比較(四半期の中で見た前期との比較)になる・・・ということです。
対前年同期比10%増・・・といえば、昨年と比べて10%増えているということになりますが、対前期比10%増だと直前の3か月と比べて10%増えているという意味になる(←こっちのほうが本当はスゴイこと!です)わけです。
ちょっとしたマジックがここで生じます。
対前期比で1.6%伸びたとして、これが四半期の間ずっと続けばこうなります。
1.6×1.6×1.6×1.6=6.55% で、対前年同期比では6.55%伸びたことになります。
つまり、対前年同期比6.55%増と対前期比1.6%増は同じことを意味している、ということです。
表面的な数字だけに囚われると本質を見誤る恐れがあります。
さらに毎年6.55%ずつ伸びていくと約11年後には今の200%になります。
言葉・表現は大切ですし、その意味を正しく理解することがビジネスでは求められます。
こうしたことは他にもいくつもあると思いますから、自分だけの解釈ですぐに納得しないで複数の人の解釈を聞きながら確認することもビジネスでは重要ですね。