経営数字はApple to Appleで比較することも大事

6月末は多くの会社で株主総会の時期だと思います。

日本は3月決算の会社が多く、それらは6月末までに株主総会を開くことが義務づけられているからです。

毎年横並びでほぼ27日~29日に集中しているのが日本の現状ですが、自社の総会には来てほしくないから他社と日程を被らせる・・・というセコイ発想が根底にあると言われます。

なぜ来てほしくないのか?

→ 株主に質問をされてトンチンカンな回答しかできない自分の愚かさを露呈したくないから/惨めな姿を晒したくないから・・・でしょうね。

最近は総会で質問をする個人株主も増えてきましたが、経営陣は少なくとも経営数字に強くなければいけません。

経営数字にもいろいろありますが、たとえば「Apple to Apple」という聞きなれない言葉も知っておく必要があると思います。

外資系企業で使われている言葉ですが、経営数字を検証するときにたいへん重要な概念なので紹介しておきます。

「Apple to Apple」の意味は、何かを比較する際に前提条件や背後の環境を同一にして比較するということです。

分かりやすい例で言うと、仮に会社の売上が一昨年度は20億円、昨年度は22億円だったとします。

数字だけみると2億円の増加で前年比10%アップですから良し良し・・・です。

これだけ見ると喜ばしいのですが、ここで「Apple to Appleで比較したらどうなるの」と問われたら?

→ よくよく検証してみたら、昨年度に立ち上げた新規事業の売上が3億円含まれていた・・・と仮定します。

そうなると、これは昨年と同じ条件で比較したなら既存事業の売上は実質1億円マイナスになっていたということになります。

全体としての売上は10%増えたけど、以前からの事業同士の比較では0.5%の減少となり、当然手放しで喜べる状況ではない・・・ということになります(わかりやすいように簡素化しています)。

セグメント別比較といったりもしますが、こうした部門別で同期比較をすることは重要です。

Apple to Appleで比較をする前は「10%増えて良かった、よくやった〜」となっていたものが、Apple to Appleで比較してみたら、「儲かったのは新規事業のおかげで、前からやっている事業は凹んでいるじゃないか!」・・・という意見も出てくるわけです。

株主総会の招集通知をじっくり読み込む人は少ないかもしれませんが、読み解こうと思えばこれくらいは簡単に読み解けます。

不正とまではいかなくても、自分たちに都合の悪い数字をあまり見せたくない/株主にツッコまれたくないのでできるだけ他の項目とくっつけて表面的にごまかそうとしたがる狡(ずる)賢い経営者もいますから株主の立場としては注視しておきたいところです。

もちろん、会社側の経営陣は既存事業だけでは危ういことを見越して新規事業を立ち上げ、それが見事に奏功した(経営を頑張った)とも言えます。

別の観点で言うと、経営者側の見立てで大切なことには、新規事業に関わった人たちに賞与等の報酬を多めにして、旧事業の人たちにはあまり大盤振る舞いをしてはいけない・・・と筋を通すことも大事です。

日々の経営の中でもリーダーは部下からの数字報告に流されないで、数字はApple to Appleで比較するという目を持っておくと良いと思います。

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