4階建てのビルを40階建てのビルにしようと思ったら、一度全部壊して土台となる基礎工事からやり直すことが必要です。
4階建てのビルの土台は4階建てだから今の状態で間に合っているわけで、決してその上にあと36階分を増築しても耐えうるような土台にはなっていません。
目先的には「いったん壊す」という行為が必要になりますが、別に「壊して終わり」とするつもりがないので、実行者は最初から目先ではなくて将来のことを見据えて行動に出るわけです。
ところが、そうしたことを理解できない人(=将来性を見通すことができない人)や、目先的なことしか見えていない人(=近視眼的な人)は、その「ビルを壊す」ということだけを取り上げて、非難したり糾弾したりします。
実行者からすればいい迷惑・・・です。
このままの4階建てビルでは意味をなさないから、将来のことを目的において40階建てビルにしようという目標を立てて、そのためにはどうすればいいかというと、まずは土台から作り直しだ・・・という手段を選択して、それを実行に移しているだけです。
本質が見えていない人は、4階の上に36階を増築すればいいだろう・・・と単純に考えます。
ムリヤリに36階分を建てようとしたらどこかで崩落してしまう・・・という仮説を立てることができない人とはここで議論がかみ合わなくなります。
もしも、お互いに自分の主張を曲げずに自己主張ばかり通そうとしたら、もう話は並行線です。
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残念ながら、こうしたことは世間ではけっこう多いと思います。
そもそも40階建てにする必要がなく、4階建てビルのままで問題がないのであれば、もちろん「このまま」という手もあります。
ところが、もしもそうでないとして5階以上の部分が必要だ!・・・というのなら、では何階まで必要なのか? 何階まであれば十分なのか? を議論して、そこで共通の見解を見出し、そのうえで「ではどうするか?」と考えることがビジネスでは重要です。
ところが、往々にして優秀でない人はそこまで到達する能力すら不足しているために、対等の議論になりません。
だから、組織において上位職者には先見力があり全体を包括的に見ることのできる人が就くべきで、そうした人が英断を下すことも時として必要になってきます。
そうしたとき、下の職位の者が「反対!」と異議を唱えてもナンセンスですね。
組織人である以上は、組織の論理に従うことが必要で、もしそれができないとしたら組織を去るしかありません。
だからこそ余計に言えるのは、「組織の上位に立つ者はリーダーとしての優れた能力がなければ、決してリーダーになってはいけない」ということだと思います。