ドイツのノーベル賞作家ギュンター・グラスの『女ねずみ』という作品にこんな一節があります。
「人間はいろんなことができた・・・でも、寛容にだけはなれなかった」
寛容とは「受け入れて、認め、許す」ということです。
会社内では、毎日いろんな出来事が起きます。
人為的なミスは、防いでも防いでもどうしても起きてしまうものです。
そうしたとき、リーダーはやみくもに怒鳴り散らすのではなく、寛容になる姿勢も大事です。
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会社内で権力を手にすると人は傲慢になりがちです。
たとえば、他人がルールを破ることには厳格なのに、自分がルールを破っても平気な顔をしているとんでもないリーダーがいます。
強い権限を持つ上位職者(リーダー)には高い人間力が求められます。
自制心を失わず、秩序を保つことが大切です。
自分が部下の時代にたいした努力をせず、ほとんど苦労しないで出世したサラリーマンリーダーほど、他人を慮る心の余裕、寛容さがありません。
労せずして職位・権限を手に入れた人はその権力に溺れ心を歪ませていく傾向にあります。
自制心を失い、自分の行動を規制するものを排除したくなるのかもしれません。
そうやってどんどん独裁者への道を歩みはじめます。
このワナにハマったらアウト!ですね。
秩序なき会社に未来はありません。
権力を手にしてなお規律意識を失わずに良好なマネジメントを行うには、手にした権限をもとに自分以外のことに「尽くす」精神が必要です。
部下や同僚はもちろんですが、取引先や見込み客や部下の家族などに喜んでもらおう、楽しんでもらおう・・・といったギブの精神をもって尽くすことができるリーダーは優れたリーダーに成長していきます。
すべてのサービス業の原点に「尽くすこと」があるように、人の上に立つ者の資質としても「他者・公共に尽くす」ということが大切だと思います。