『シシュポスの神話』その(2)

実際にロシアではあった刑罰でこんな例があります。

囚人に「穴を掘れ」と刑務官が命令します。囚人は必死で穴を掘ります。身体が完全に埋まるくらいまで掘り進んだところで、次の命令を刑務官が出します。

「今度はこの穴を埋めろ」・・・と。

必死に堀った穴を今度は埋めろと言うわけです。仕方なく必死で埋めていきます。

埋め終わって最初と同じように整地したところでまたまた命令が発せられます。

「ここに穴を掘れ!」と。

結局は、それの繰り返し作業が囚人に命じられるわけです。

何度も掘っては埋め、掘っては埋めるという重労働を延々と繰り返すばかりです。

やがて多くの囚人は精神的に疲弊するだけでなく、気がおかしくなってしまうそうです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ところで、似て非なる話が日本にあります。

ある武将は、ある兵糧攻めをしているとき、家臣にこのロシアの例と同じような作業をさせました。

つまり「穴を掘り、掘り終わったところで埋める」という作業です。

ところがそこには唯一違う点があったのです。

こんな話です。

「今からこの合戦の勝敗を決する重大な任務を命じるので、よく聞け!

敵の陣地に向け、急いで穴を掘るんだ。4つの穴を掘り進め、完成した4ヶ所から一斉に攻めるぞ。

いいか、一番早く掘り進めた者たちには恩賞を弾むぞ」と命じます。

ところが、ある一定のところまで掘り進んだところでこう指示します。

「よく聞け!敵がこの作戦に気づいてしまった。

敵はこの洞穴を通じてわが陣に攻め込むという作戦を考えているようだ。

それでは大変なことになる!ただちに今まで堀った穴を埋めるんだ!」

・・・と。

その結果、家臣たちは大急ぎで穴を埋め戻していった・・・という話です。

ロシアの囚人の例と何が違うのか?

行為としては同じで「穴を掘り、掘った後にその穴を埋める」・・・という作業をしたわけですが、そこに「目的意識を持たせた」 ということです。

人は目的がないこと、意味や価値がないことは積極的に続けれません。

つまり、自分のやっていることに積極的に意義を持たせることことが重要だということです。

シシュポスの神話やロシアの囚人の話のように意味もなく単純作業を繰り返すだけだと、それは人間に対する刑罰になります。

好んで行なうのではなく、イヤイヤ無理強いさせられて行なうからです。

ところが、同じ出来事でもそこに意味を持たせるととたんに意識が変わり、感情も変わってきます。

そうした意味を付加する力、前途ある未来や高い目的を掲げて、それと今行なっていることを結びつける力がある人は、前向きに成長していける人ですし、リーダーにはそういう姿勢が必要だと思います。

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澤井豊オフィス澤井 代表

投稿者プロフィール

1964年、富山県生まれ。大学卒業後、大手株式専門証券株式会社に入社。学習塾を運営する未上場会社に転職後、会社を東証2部上場および東証1部上場に導く。人事・財務・IR・総務の経営リーダーとしてM&A、会社分割、グループ経営移行を行い、社員研修においては延べ1万人以上に実施。ライフプランに沿って経済的自由を得た後、会社を50歳にて退職。

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