昭和生まれの世代は、まだ十人一色の時代観が強く残っています。
長い物には巻かれよ・・・ではありませんが、誰か(特に上司など)がAと言えばみんなAということが是とされる時代を生きてきた人たちです。
ところが、ゆとり教育で育った平成時代生まれの若者たちは徐々に十人一色から十人十色に変わりつつありますす。
それが良いとか悪いということではなくて、時代の流れがそうした傾向にあるということです。
そうなると価値観も異なっていて至極当然なわけです。
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かつて、アサヒビールがスーパードライで見事にビール業界の順位を入れ替えたとき、陣頭に立たれたある役員の方はスーパードライのヒットの要因としてこう言われたそうです。
「スーパードライがヒットしたのは十人一色の時代から十人十色の時代になったからだと思う」・・・と。
それまでは、ビールと言えばキリンビールでした。
飲み屋にはキリンビールは必ずあっても他のメーカーのビールは置いてあったりなかったり・・・でした。
また、上司がキリンを注文すれば必然的にその場ではみんなキリンビールしか飲まないことが暗黙のルール・・・などいわゆる十人一色だったわけです。
それが時代が変化し、たとえ上の人がキリンビールを頼んでも自分はスーパードライを飲みたいと思えば何の躊躇もなく注文できる時代になった・・・というわけです。
もちろん、スーパードライがヒットしたのはそれだけの理由ではないと思いますが、「十人一色の時代から十人十色の時代になったから・・・」という言葉にはそういう意味が隠されていると思います。
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ガムはロッテ・・・車はトヨタ・・・旅行はJTB・・・新婚旅行は海外ならハワイ、国内なら熱海・・・年末は紅白歌合戦・・・歌と言えば演歌・・・スパゲッティはナポリタン・・・といった昔は定番とされていたことも今ではそのこだわりの影は薄いものです。
各人が好きなように振る舞っても非難されなくなってきた時代・・・それが平成の世の特徴の一つでもあると思います。
ただし、時代は極端を嫌います。
やがてはこうした傾向もまた徐々に是正されて平準化されていき、十人五色くらいに落ち着いていくのかもしれないですね。