東京・銀座のすし屋に行くと必ず思うのは、「おまかせ」というメニュー(品書き)があるお店は高級店・一流店と呼ばれるお店が多いなあ・・・ということです。
「おまかせ」というのは、単に「日によってメニューが違うけどその日に来た人たちにとっては基本的に同じメニュー」・・・というわけではありません。
「おまかせ」というのは、「人(お客)によってメニューが違う」というものです。
したがって、同じ日に来店したお客さまであっても、こっちのお客さまはこういう嗜好だからメニューはこうしてお代は1万円、あっちのお客さまはちょっと体調がすぐれなさそうなのでこういうメニューが合うだろうから、お代は5千円・・・といったように、その「人(お客)」に合わせて変わるものです。
お店によっては「あまかせ・・・○○円」という表示をしているところもありますが、本当の意味での「おまかせ」は価格も非表示で、お客のほうから「○○円でおまかせします」と言えるようなものだと思います。
そうした「画一的でないサービス」を提供するのが「おまかせメニュー」であり、それができるからこそ一流と呼ばれるお店に多い(←お客さまの様子や会話から要望をキチンと把握できないと提供できないため)のだと思います。
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「おまかせメニュー」というのは、すなわち「定価がない」ということでもあります。
逆に「定価だらけ」という路線で商売をしているのが大衆店だと思います。
考えてみれば、日本という国はほとんどのお店で「定価(売価)」が決まっていて、買う側として見れば安心して買えるというメリットもありますが、交渉して値引いて買うという文化が途絶えてしまった温床でもあるかもしれません。
外国へ行くと、不便なことに定価が表示されていないお店が多く、その商品の価値を自分で判断して自分なりの買いたい価格(買ってもいい価格)で交渉をすることが求められます。
文化の違いではありますが、商品の価値を自分の目で見定め、モノの本質を見抜く・・・という意味では良い訓練になります。
とにかく「定価」がない国では、買い物する度に「交渉」が必要で(まあ、言い値どおりで買えば交渉は不要ですが…)、面倒と言えば面倒です。
でも、そこで店員さんとコミュニケーションをとる楽しみがあり、日本とは違った買い物の楽しみ方があります。
日本人は、買い物をするとき売り手側の出す価格に対してほとんど無防備です。
定価を信じ、言われるがままにお金を支払います。
一種の「信用と信頼」がそこにあるからこそ成り立っているわけで、そういう意味では日本はすばらしく安心安全なのだと改めて思います。
ただし、1年のうちで数回は「おまかせ」でしか頼めないようなお店でお金を支払ってみる経験を積むことも大切なのではないかな?・・・と思います。