昔は、偏差値の高い難関大学を卒業した人はたいてい大企業か官公庁に就職していきました。
そうした人たちには「生涯一社」の考え方があり、またそれが当たり前とされた時代であり、「退社 → 転職」というのは人生の負け組がすることで自分には無関係のことだ・・・という認識が強くあったと思います。
それはそれで「当時の」考え方としては主流だったわけで、一般的で、常識的で、正論だった・・・と思います。
でも、そうした価値観はその人がまだ現役サラリーマンを勤めているわずか数十年でひっくり返りました。
その結果、当時の花形産業に就職したハズだったのに、いつの間にか業界は斜陽化していき、自分が勤める会社もリストラの嵐が吹き、自分も結局定年まで勤めあげることができず早期退職を強いられた・・・という人もけっこういるものです。
時代が変わり、今では「生涯一社」精神を強く持つ人はどんどん減ってきています。
むしろ「転職が当たり前」で、転職することで「自分のキャリアアップにつながる」という概念が広まってきています。
そうしたある時点だけを見て、「勝ち組」だとか「負け組」だと判断するのはあまり意味のないことだと思います。
その判断は自分自身に委ねられていて、決して他人が「職業の移行頻度や勤務先の会社名など」で判断するものではないからです。
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昨今では「転職」をすることが以前ほどネガティブなものではないものの、それでも安易に転職することはあまりおススメできません。
軽い気持ちで転職をすると、それは癖になり、ちょっとイヤなことがあるとすぐに「転職」という選択肢を見つけたがるようになります。
「安易な転職は収入が減る」が一般的な常識です。
転職をするたびに賞与はもらえなくなります。
賞与とは「積み重ね=社歴」を重視したものだからです。
極端なことを言えば、5回転職した人は、賞与をもらう機会を5回失ったのと同じです。
場合によっては、同じ会社で40年間勤務し続けるほうが、生涯賃金は多くなるかもしれません。
転職回数が多い社員は生涯賃金が少なくなることを、リーダーは予め自社の社員に教育しておくほうが良いかもしれません。
一つの会社で継続して成長していくことを原則として、自社では得ることができない何かを求めて転職をするなら止む無し・・・とい考え方のほうが双方にとって望ましいと思います。
転職はアリ!という常識観になってきた世の中ですが、それでも「安易に転職を繰り返すと、結局生涯賃金は減る恐れが高い」ということを頭の隅に入れておくのが良いと思います。