トム・クルーズ主演の映画「ラストサムライ」の最後のシーンに明治天皇と主人公にこんなやり取りがあったと思います。
「教えてほしい、彼はどのように死んだのか?」
「いいえ、彼がどのように生きたのかをお話しいたしましょう」
人は、死んだ瞬間よりも生きていた間のほうが重要です。
推理小説で刑事や探偵が最後に真犯人を名指しするシーンが感動的に面白く思えるのも、そこに至るまでの捜査過程と聡明な推理思考があってこそのものです。
結末よりも過程が大事だということです。
渋沢栄一も「末期における教訓が尊いというよりはむしろ生前の行為こそ真に崇敬すべき」と言っています。
世間一般では、人や物事の最後だけを切り取ってその結果だけですべてを判断しようとしたり、すべてがわかったようなふりをする向きもあります。
その結果に至る過程がどうだったか?にはなかなか目を向けようとしないわけです。
ひどいことに一部分だけを切り取ってあえて意図的に本人の意向を歪めて報道する・・・という事例も多々見受けられます。
これによって多くの人は誤解をし、あるいは一種の洗脳状態に陥ってしまいます。
成果や結末だけで判断するのは簡単ですが、同時に誤解を生むという危険もあります。
その人や物事の本質は長い時間をかけて築かれてきたものである・・・と解釈するなら、「結果+プロセス」といった両方に意識を当てることが大事だと気づけます。
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お金に関しても、結果に集中する姿勢は基本的には賛成です。
しかしながら、最近は、何かを成し遂げることよりも、単にお金を入手することだけに意識を向けている人が増えてきたように思えます。
出すべき結果を「お金だけ」に意識を向けているようなら、ちょっと何かがズレているかもしれません。
なぜなら、お金は道具であり、お金を使って何を成すか!のほうにこそ、もっと重要なことが隠されている・・・だろうからです。
お金を入手する・・・というのは、お金を稼ぐのと微妙に異なります。
稼ぐ/稼がないという概念を無視し、とにかく「お金を自分の懐に入れることだけ」に意識を向けている・・・感じがします。
人生の中心軸をお金に置き、その他の事は無視する・・・のでは、人生がつまらないものになると思います。
お金は、もちろんしっかり稼ぎそれなりに入手しつつ、かつ、自由な時間と生き様を自ら構築していく(手に入れる)・・・という発想が大事だと思います。
そして、充実した人生を送るその姿を次世代の人たちに見せてあげることで良い循環を世の中に生み出していってほしいと思います。