
株式相場の格言の一つに「理外の理もまた理なり」というのがあります。
相場というのは時として人間の理解を超えた動きをするもので、理論的に考えられるとおりのことが常に起きるわけではありません。
そこには「人間は感情の動物である/人の行動は感情が支配している」という背景もあるからだと思います。
とかく「理外のこと」はよく起きることですし、それ自体(=理外のこと)も突き詰めて考えれば実は「理」になり得るのだと思います。
人間社会とはそうしたことの組み合わせだから一筋縄ではいかないことが多々あるのだと言えます。
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私が20代のころ、ある経営者がこう言っていました。
「1年で1億円を稼ぐのは簡単だけど、5年で1億円を稼ぐのは難しく、後者のほうがすごいことだ」
パッ!と考えると、ちょっと意味不明です。
なぜなら、理論的には前者のほう(=1年で1億円を稼ぐ)が明らかに難しくてすごいことだからです。
5年で1億円稼ぐより1年で1億円稼いだほうが良いし、それができるなら5年で5億円稼げることになります。
哲学的な言葉なのかもしれませんが、当時、なかなか理解できませんでした。
でも、当時はまだ若かったし、理外の理もまた理なり・・・だと無理無理に信じようと努めました。
やがて、歳を重ねていくうちに、ある時ふっと何かのタイミングでこの言葉の言わんとするところが分かったような気になりました。
要するに前者の「1年で1億円を稼ぐ」というのは、言わば一攫千金的に急にお金を稼ぐパターンで、これは続けることができない(あるいは再現性のない)パターンを意味しているのだと思います。
別の言葉を使うと「複利をきかせられない」ようなパターンです。
一方で5年間で1億円を稼ぐ・・・というパターンには、「継続性/再現性」のニュアンスが濃く隠されていて、またそこには「複利がきく」ということがあるのだと思います。
経験と知識に裏付けられた安定性というのもありそうです。
急にドカーンとお金を稼ぐよりも、安定してコツコツとお金を稼いで、でもそれが確実で、何回も同じことを再現できて稼いでいるというパターンのほうが難しくすごいことなのだと思います。
今ではそういう理解をして納得しています。
やはり、名経営者の人の言葉というのは、何か隠された意味合いがあり、また、「それを理解できること自体が自分の成長度合いにもなる」のかもしれません。
言い換えると「理外の理を知り、それに従う」ということの重要性がどこまでわかるか?・・・です。
経験がまだ未熟な若いときは理解できなかったことも、年相応に経験値を高めていくと理解できるようになることは多々あると思います。
大事なのは「他者の言葉を理解しようとして聴く」姿勢を持つこと、そして「理外のことでも自分の無知が原因だからわからないだけだと謙虚にとらえて理解しようと努めること」だと思います。
これからもそうした態度・姿勢を失わないように生きていきたいと思います。