目に見えない妄想にいつまでも囚われてはいけない

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一休さんのとんち話はいろいろありますが、その中の一つにこんなのがあります。

あるとき、一休さんがとんちで有名になっていることを快く思わない町の権力者が、一休さんを家に呼び「虎の絵が描かれた屏風」を見せてこう言います。

「実は、この虎が毎日屏風から出てきて私を脅かすので困っているのじゃ。一休禅師にはできないことはない、と聞く。どうかこの虎を退治してはくれぬか・・・」と。

一休さんはしばし考え、「わかりました」と言うと、着ていた着物をめくりあげ、虎退治をしやすいように紐(ひも)で結わえてこう言います。

「さあ、準備は整いました。いつでも虎を退治して見せましょう。それではどうか今から虎を屏風から追い出して私の前に寄こしてください・・・」と。

当然、屏風に描かれた虎が出てくるはずはありません。

町の権力者は自分の負けを認めて、改めて一休さんのとんちに恐れ入った・・・とか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あるとき、禅の創始者「達磨大師」に弟子の慧可(えか)がこんな相談をします。

「私の心はたくさんの不安で乱れています。大師さま、どうか私の心からこの不安を取り除いてもらえないでしょうか?そうすれば私は安らかな心、動じない心でもっと修行に打ち込めることでしょう」と。

慧可の相談に達磨大師はこう答えます。

「わかった。お主の心から不安を取り除いてあげよう。では、まず、その『不安』とやらをお主の心から取り出して私の前に出してみてくれ。お主が言う『不安』を見せてくれたら、いくらでもその不安を取り除いてあげよう』・・・と。

慧可は困りました。

なぜなら、そう言われても「不安」というのは心の中にあるもので実体がないからです。

そしてハタと気付きました!

「そうだったのか!自分が不安だと思いこんでいたものの正体は、実は自分が勝手に作り上げた『妄想』に過ぎなかったのだ・・・」と。

それ以来、慧可は動じない心で修行に励むようになった・・・とか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

人間には良くも悪くも想像力があります。

そのおかげでさまざまな素晴らしい発明もしてきましたが、一方で日常生活ではさまざまな良くない想像をして自分で自分を苦しめてしまっていることがあります。

想像力が勝手に作り上げる「不安」は妄想に過ぎない・・・と思うほうが人生はベターだと思います。

1年前の不安を覚えている人なんてほとんどいません。

2年前の不安を覚えている人なんてもっといません。

3年前の不安を覚えている人はもっともっといませんし、5年前、10年前の不安になれば覚えている人はほぼ皆無です。

想像力が勝手に作り上げる「不安」という妄想に心を乱されないことが大事です。

「他人が自分のことを△△だと思っている」という思い込みも「不安」と同じです。

誰もそんなことは思っていません。

ネガティブに物事を考えすぎないように気をつけて、むしろどんなことでもポジティブにとらえるように意識するほうがベターだと思います。

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