「出息入息 不待命終」(しゅっそくにゅうそく ふたいみょうじゅう)=「出る息は入る息を待たずに命を終わる」・・・というお経の一節があります。
吸った息が吐き出せなければ、また、息を吐いた後に息を吸えなければ、その時が命の終わるときだという意味だそうです。
病院で今際(いまわ)の際(きわ)に瀕した人を見るとまさにその一息ごとが切なくも愛おしくも思えます。
一息の呼吸ごとに安心感がもたらされますが、ついにはその一息の音が聞こえなくなったとき、ハッ!とその顔を見てその臨終の時が訪れたことを知ります。
「死」はいずれ迎えることだと誰もが容認はしていますが、多くの人は「それはまだまだ先のこと」という認識でどこか他人事です。
吐いたら吸う、吸ったら吐く・・・そんな当たり前で普段は何の意識もしていないことが、実はとても崇高で有難いことだと気づけるのは、もしかしたら自分の大切な人を看取るときの恩恵なのかもしれません。
昨年の今日、実母を病で亡くしました。
成人してからの近親者との永遠の別れは妻と母で都合2回経験しました。
今、こうして自分が健康に生きていられることの尊さを改めて感謝し、明日からも前向きに生きていこうと決意し直しました。