これまでの日本人の人生設計の中には「持ち家志向」が根強くあったと思います。
社会人になった後、サラリーマンの多くはどこかの段階でマイホームを購入する・・・というのが暗黙のうちに「夢の一つ」として位置づけられてきたように思えます。
ところが、時代は流れ、いつしかそうした考え方は薄れてきました。
持ち家は一つの財産になり得ますが、果たしてそこまで多額のお金を借金して持つべきものなのか?/人生の早い段階でローンを組んで購入して後の人生はひたすらその返済に追われるという生き方がはたしてベターなのか?・・・といった視点で持ち家志向を疑問視する人が増えてきたように思えます。
昔は、住宅ローンの返済が終わったころに自分自身が定年退職を迎え、その後はローンの無い家で公的年金と退職金で悠々自適に暮らす・・・というパターンが一般的でした。
ところが、今では定年退職をしてもローンの返済が残っている、退職金がない(あってもわずか)、公的年金だけでは暮らしていけない、という現実があり、またそれを多くの人が知るところとなりました。
そうであれば持ち家を最初から持たず、一生を賃貸暮らしで過ごしても構わない・・・と思う人が増えたのも頷けます。
どちらが正しい/間違っているではなく、自分の生活環境や生き様次第で正解は変わってくると思います。
私は昔から「持ち家派」ですが、「賃貸派」の言い分もよくわかります。
根底にあるのは「その人の価値観/哲学」であり人生をどのようにとらえているかによると思います。
借金をして家・マンションを買うというのは、カツカツの生活費しか稼げていない人にとっては非常にリスクが高い買い物であることは間違いありません。
だからこそ、自分の収入を今後も継続して増やしていける人には「購入が正解」となり、収入を増やせない人にとっては「賃貸が正解」となるとも言えそうです。
金額が年収の何倍もする購入物を、多額の借金をして、しかも金利上昇リスク/定期収入の喪失リスクを背負ってまで購入することは確かにキケンです。
ここしばらくの間低金利時代が続いています。
人々は「低金利が当たり前」という認識に陥っていますが、でも金利上昇リスクを甘く見てはいけないと思います。
ただし、ここで大事なのは、リスクに対して盲目的になることでもリスクを全面的に受け入れることでもなく、あくまでもリスクを承知したうえで自分の行動計画を練り、悔いのない生き方を貫き通すこと」だと思います。