高齢者になると自分が住む賃貸物件を借りることが難しくなり、借りられる物件の選択肢が狭くなる・・・と聞きました。
その原因はいくつかあると思いますが、一つが「金銭担保不足」ということだと思います。
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そもそも人が何かを「借りる」とき、貸す側の立場で見て必要になるのは「キチンと返してくれると思えるだけの証左」です。
そうでなければ貸す側は安心して貸すことができません。
例えば図書館で本を借りるとき、図書館側は借りる人がどこに住んでいる誰なのか?を証明するために免許証などで本人確認をして貸出カードを作ります。
これによって、もし本が返却されないときは、その住所・本人に返却を促し、最悪の場合は法的手段に訴えかけることになります。
住宅ローンを借りるとき、銀行はその住宅に抵当権をつけて担保を取り、かつその人が勤務している会社名、場所、連絡先を知ることで返済能力があることを確認します。
場合によっては連帯保証人をつけて返済の滞りを防ごうとします。
たいていの場合は、借りる人がどこに住んでいるかを確認して、ある程度のお金を持っていることが確認できれば「貸す」ことができるものです。
モノではなくお金を貸す場合でも、まずは「どこに住んでいる何という名前の人なのか?」を確認します。
ところが、その肝心な「住むところ」を貸す場合・・・すなわち住居の賃貸に関しては「家賃の支払いを担保する」ことが最重要となります。
そのために保証人や勤務先等が必要になるわけですが、高齢者になればなるほどその担保がもはや存在しなくなっていきます。
すでに退職して働いていなかったり、親や兄弟や子どもがいなければ保証人をつけることもできません。
そうなると住む場所を「貸す」ことができなくなるわけです。
ここに、「高齢になればなるほど自分が住む賃貸物件を借りることが難しくなり、借りられる物件の選択肢が狭くなる」・・・理由があるのだと思います。
これは言い換えると「引っ越しができなくなる」ということです。
注意しなければいけないのは、仮に今住んでいるところがあって自分は引っ越すつもりなどない!・・・と言っても、その家屋の老朽化等で立て直しが必要となり、自分の意とは反して引っ越しせざるを得なくなる場合がある・・・ということです。
そうなると、住む場所を一気に失います。
昔から「家は買うか?借りるか?」という議論がよくされていますが、こうした観点で言えば「高齢者になる前に所有するほうが望ましい」・・・と言えそうです。
権利収入のお金の源泉があって、毎日ホテル住まいができる・・・という人であれば大丈夫ですが、そんな人はごくごく少数だと思います。
退職して働かなくなる前に、その後の自分が住む場所の確保をしておく・・・少なくともその目途をつけておく・・・ということは大切だと思います。