あるデータによると、2023年に東京23区で供給される大規模オフィスビルの面積は2022年の2.7倍になる・・・とか。
単純に数字だけ見ると「すごいな!」となりますが、こうした情報に触れるとき、表面上の数字や情報だけに惑わされることはキケンです。
情報を出す側としては「ウソは言わないけど見聞きした人がある方向に誘導されて勝手に誤解してくれることを期待している」ことが多いものです。
テレビを始めとしたマスコミの情報操作/印象操作には常に警戒をしておくほうが無難です。
→ 都心23区のオフィス需要が徐々に戻りつつあり、立地や機能面に優れた最新の大型のビルには入居希望の企業が集まってきている・・・というのは確かかもしれませんが、ここで大事なのはその需要が「新規の需要なのかそれとも他からの乗り換えによる既存の需要に過ぎないのか?!」ということです。
両方ひっくるめて「需要」という言葉で表しているところにひっかけ(騙し)があります。
表面上の数字・情報だけで「オフィス需要が回復しつつある」と鵜呑みにするようだと一般サラリーマン止まりです。
ビジネスマンはその言葉の裏側に隠された真実を読み取ろうとします。
もしかしたら、あくまでも「立地や機能面に優れた最新の大型ビルだけ」に企業が集まっているだけで、それらは今まで入居していた旧タイプのビルを転居してくるだけかもしれない・・・と別角度から読み取ろうとします。
もしそうだとしたら、最新型の大型ビルに入居企業が集まるとしても、それは最新型ではない従前のビルの入居企業を奪っているだけにすぎない・・・ということになります。
玉突き的に入居企業を奪っているだけとしたら、それは別に「需要が増えた」とは言えず、ただ「需要が変わった/需要が移った」だけの話です。
全体・総合面での大局的見方が大切です。
退去になった従前のビルは空室が増え、場合によっては家賃相場が下がり、利回りが低下してその後不動産価格が暴落する恐れもあります。
そうなったら、それまでの古いビルを持っているオーナーは悲惨な事態に陥ります。
日本では1990年代半ばに似たような状況になったことがあります。
当時は結局1989年12月に日経平均が最高値となり、1990年がバブルのピークだったと後から解釈されるに至った・・・という経緯があります。
株式のみならず、不動産価格・価値の大崩壊という地獄を見ました。
同じような道を辿っている恐れが決してないとは言い切れません。
バブルは「その時を生きている人」にはなかなか気づけないもので、後から当時を振り返って解釈されるものです。
2008年のアメリカのリーマンショックも同様で、当時はみんな当たり前と思っていたのが気がついたら当たり前ではなく、ちょっとしたタイミングでいろんなことが逆回転して経済が崩れていきました。
かつてのあの事態に向かっている恐れがある・・・と理解・警戒し、むやみやたらに高い投機的買い物には手を出さないほうが無難です。
常に心のどこかで用心しておくほうがベターだと思います。