アブラハム・マズローの言葉に、こんなのがあります。
「もしあなたが金槌(カナヅチ)しか持っていなければ、全ての問題は釘(クギ)に見えるだろう」
意味はこうです。
何かの問題解決に迫られたとき、経済学者であれば経済の観点で解決糸口を見出し、教育者であれば教育的な見地で目をつけ、IT技術者ならばIT技術で解決を図ろうとする・・・つまりは自分の持っている「最も使いやすく手近な道具」を使って解決する傾向が強い、ということです。
経営で言えば、会計士は財務戦略が大事だと言い、人事コンサルタントは人事制度が大事だと言い、営業コンサルタントは売上を伸ばすことが大事だというようなもので、みんな自分の得意分野の色メガネをかけてモノを見ようとします。
もちろん自分の未知の分野で解決を図るよりも、よく知っている得意分野で問題を解決しようとするのは当たり前のことで、別に悪いことではないと思います。
ただ、頭が痛いといって内科を受診したらそこでは当然内科医が診断して、内科医の見立てで診療されるわけですが、もしかしたら原因は「歯」にあるのかもしれないし、脳に重篤な原因があるのかもしれませんし、神経にかかわることが原因かもしれません。
医療機関はそれぞれ分かれているので、それぞれ自分の専門分野で診療しますか、なかなか越すに越せない限界があるのかもしれません。
そこを見極めることが必要なのですが、それを自分自身で行うことはちょっと難しいものがあります。
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もし自分の手元に金槌(カナヅチ)しかなければまずは金槌で解決しようとするものですが、早い段階でその限界に気づき、より適切な処置・処方を講じることが大切です。
お金の問題も、持っている処方箋が限られていることが多いので、誰かに相談することが大事です。
会社でも、サラリーマンは問題発生時に自分だけで解決しようとすると、手持ちの情報、道具、手段が限られていて間違った方向に進んでしまう恐れがあります。
早く上司にトスして、組織で解決策を練ることが必要です。
手にした金槌で解決できる問題なのか、金槌を別の道具に持ち替えて解決するべき問題なのか・・・?
大局的な見地から全体を広く視て、適切なプロセスを歩めるように指示できる人・・・それがリーダーのあるべき姿の一つだと思います。