経営者には「社員からよく思われたい」という思いがある一方で「会社のお金を減らしたくない」という欲求もあります。
社員の給料はなるべく低く抑えたいという欲求です。
給料は一種の薬物みたいなもので、いったん上げてしまうと、もう下げることはできません。
給料アップは言わば「片道切符」です。
しかも、上げたときだけは喜ぶ社員もしばらくするとその喜びは持続性に欠けるためあっという間に「当たり前」という感覚に陥ります。
人は、給料アップで一瞬は動きます。
でも、その手法を使うと結局は社員はお金でしか動かなくなってしまいます。
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給料アップの他に人が動く動機には「達成感/充実感」があります。
むしろ、こちのほうが大切です。
「やった!」「できた!」というときの喜びで動くモチベーションには大きいものがあります。
この達成感が得られないとただ単にお金(給料)を求めてしまうようになりますから、マネジメント手法としては達成感に比重を置くことが大事です。
少し見方を変えれば、「達成感」の対極関係にあるのが「給料/金銭報酬」と言えます。
給料アップには限界がありますが、 達成感の喜びには限界がありません。
達成感が途切れてもまた今度がんばろう!とはなりますが、給料アップが途切れると憎悪や軽蔑や嫉妬に変わります。
そういう意味では、やはり給料アップは一種の麻薬みたいなものでしょうね。
良かれと思って経営者が社員の給料を上げたとしても、ずっと上げ続けることができなければどこかで反感を持たれてしまう・・・という皮肉な結果になります。
社員は実は満足感や達成感も求めているものです。
もちろん、ある程度の金銭報酬も大切ですが、経営リーダーの考える第一義としては「達成感」を味わえるような環境をつくっていくことが大事だと思います。