スーパーなどの小売業のお店には、たいてい入口に買い物カゴが積んであります。
そして、特売品は入り口近くに置いてあります。
ドラッグストアでも、お店の前に特売の商品が値段のポップとともにいくつも置いてあったりします(しかも店内にも同じ商品が置いてあります)。
特売品が入り口近くに置いてあるのにはわけがあると思います。
それは、手に取って買い物かごに入れて店内に入ってもらうため(進んでもらうため)です。
よほどのことがない限り、人は商品を手にとったらそのままで店内をうろつくことはしません。
必ず買い物かごに入れて店内を歩きます(ごく一部に例外の人はいますが)。
お店の奥に特売品があると、入店時には手ぶらで入って(=カゴを持っていない)、店内で特売品をとるとそのままレジに進んで特売品以外の商品を買おうとはしなくなります(手がふさがっているので)。
そこにカゴが置いてありカゴに入れたとしても、入口から特売品までの間に他の商品をカゴに入れる機会ロスが生じています。
言うまでもなく、特売品は何のためにあるのか?と言えば、お客さまを大量の買い物に誘導するための撒き餌(まきえ)みたいなものです。
特売品も買ってほしいけど、それ以外の商品も買ってね!・・・というのがお店側の狙いです。
逆に言うと、特売品だけを買われるとあまり嬉しくない・・・??です。
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マーケティングでこうした方法を言うとき、少し難しい表現になりますが、
特売品=フロント商品
その他商品=バックエンド商品
となります。
ビジネスでは、トータルで利益が出ればいい・・・という考えで、フロント商品でお客さまを導引して(←言い方は悪いですが要はこれで客を釣るわけです)、そのあとバックエンド商品でゆっくり利益を得ようとします。
お客さまがフロント商品にかける時間は一瞬、バックエンド商品にかける時間は無限大・・・ということを狙った戦術です。
何気なく買い物をする私たちですが、こんな日常の中にもいくつもの営業手法(テクニック)が隠されています。
人間の心理をついた戦略・戦術は見事だと思いますし、イヤな感じがするわけでなければあえて乗っかって楽しむのも良いですね。