会社組織には「上司の命令は絶対に守る」・・・という不文律があります。
これを徹底しなければ、統率がとれなくなり、組織力が発揮できなくなります。
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上記に反することの例に、たとえばソニーの盛田昭夫氏のこんな逸話があります。
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1955年に、盛田氏は社命を受けてトランジスタ・ラジオを持ってニューヨークに乗り込みます。
アメリカのブローバ社はこのラジオを気に入り、「ブローバ社の商標をつけることを条件に10万個を注文する」と言います。
盛田氏は東京の本社に相談します。
そして、本社からの指令は「わかった、条件を呑む。 先方の言うとおりにせよ」・・・でした。
ところが、ここで盛田氏はソニーブランドを第一に考え、ブローバ社の申し出を断ります。
その後、結果的にはこの判断が後に功を奏し、ソニーはアメリカで知らない人がいないというくらいまでに有名なブランドになったわけですが、このときの「指示への反抗」はいかがなものだったのか?・・・と思います。
目先の小さな成功を捨て、その向こう側にある大成功を盛田氏のおかげでソニーは勝ち取った・・・などとと美談で語られることが多いようですがそれはあくまでも結果論であり、結果オーライの話です。
私はこの逸話を美談だとは思っていません。
なぜなら、組織の論理に反した行動をとっているからです。
結果的にソニーブランドが有名になった・・・と言いますが、もしも盛田氏が本社の指示通りに行動していたら、ソニーはもっと早い段階で有名なブランドになって売上もその時以上に大きくなっていた・・・という可能性だってあります。
どうなっていたかは誰にもわからないのですから、「結果的に良かった」と評するのはあまり適切な評価とは言えないわけです。
組織人である以上は、組織の論理に従うことが重要で、それに反することを許されるのは法令違反や公序良俗に反することの指示だった場合に限られます。
組織の論理に反した行動をとって、その結果成約した・・・売上が上がった・・・儲かった・・・というのは、すべて偽善だと思います。
組織人というのは、そうした哲学と覚悟を持つことが大事だと思います。