「一燈照隅 万燈照国」という言葉があります。
比叡山延暦寺を開いた最澄の「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」という言葉からきています。
意味はこうです。
一つの灯りは国の片隅を照らすだけだが、でも、それが万の灯りになれば国全体を照らせることになる。
だから、一人ひとりが自分のできる範囲でその役割を果たすことは宝のように尊いことと言えるのだ。
→ 日本に数多くある「中小企業」もこれと同じことが言えるような気がします。
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大企業には多売が可能です。
でも、中小企業に多売を求めることは経営的には難しい話だと思います。
それは商圏規模の大きさや商品製造の規模にも原因があります。
いずれも中小企業は大企業に「数量の論理」で勝つことは難しく、最初からそんな発想で競争することは死を意味していると思います。
薄利多売の概念が通用するのは大企業の論理であり、中小企業の論理ではない・・・と知っておくことは重要です。
価格を抑えて商品・サービスを市場に流通させようとする心意気は良し・・・なのですが、中小企業の場合はそれで経営が成り立つかどうかのチェックが必要不可欠です。
中小企業が大企業のマネをして薄利多売を目指し、その結果「薄利少売」になったのでは元も子もありません。
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京セラ会長の稲盛和夫氏も、「経営は値決めだ」と言っています。
つまり、「値決めは経営の要諦」になるということです。
値決めに対する姿勢が弱気になると、利益管理も曖昧になる恐れがあります。
中小企業の経営者は自社商品の価格を自分で決定することができる!という利点を持っています。
これは、経営者の大いなる特権の一つで、大切なことです。
ここに経営手腕の一端が垣間見れることになりますから、検討には検討を重ねて価格決定を行ない、決して薄利を追求しないように心がけることが大事だと思います。