ある程度大きな会社では、社長や役員は堂々と会社の正面玄関から入って、受付を通ってエレベーターに乗って自分の執務室がある階へ向かいます。
一方で、一般の社員たちは裏玄関というか社員通用口を呼ばれる小さな入口から入って、更衣室で着替えて自分のオフィスへ向かいます。
その通路に受付を通ることはありません。
受付の担当者は、社員の誰が出社していて誰がまだ出社していないということはわかりませんが、社長が出社したとか専務がまだ出社していないということはわかるわけです。
会社が大きくなってきて、自社ビルを構えたりするとこうした事象が起こりえます。
そして、総務の担当者は役員から呼び出されてこう叱責を受けます。
入口の床が汚れていたぞ!
玄関の掲示物が傾いていたぞ!
組織の硬直化が始まっているわけです。
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そうした不要のトラブルを回避するためには、社員の中でもある一定の人は社長や役員と同じ動線を歩くように業務として設定することが必要です。
言葉を変えて言えば、「お客さまと同じ動線を自分で歩いてみる」ということです。
これは、お店などでも必要なことです。
店長・店員であってもお客さまと同じように店内を歩いたり、品物を手にしたりしてみることはとても大切です。
勝手の良くないことにすぐ気づけます。
販売する側の視点だけでは決して気づくことができない重要なヒントがどこかに隠されているものです。
これを制度として、仕組みとして実行させるのがリーダーの務めだと言えます。
「社員がお客さまと同じことをする」ことを禁じているようなら、そんな会社・お店のほうが逆にうまくないと思います。