ビジネスにおいては「儲けたい(=得をしたい)、損をしたくない」という気持ちが働きます。
人間の特性としては「損をしたくない」という気持ちのほうが「得をしたい」という気持ちに勝ることが多い、と言われています。
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ビジネスでありがちな「接待」についてちょっと視点を変えて考えてみると面白いことが見えてきます。
「日本企業における接待」の多くは、既存客/大口顧客に対して行われます。
これは、接待 → これからも引き続き取引を継続してもらいたい → 競合他社に奪われたくない→ 損をしたくない」という思いが背景にあります。
一方、「アメリカ系企業における接待」は新規顧客を対象とすることが多いそうです。
それは、接待 → うちを気に入って取引をスタートしてもらいたい → 得をしたい」という思いが背景にあるからだと解釈できます。
日本企業とアメリカ系企業のこうした違いは、実は接待における費用責任の所在が大きく関係しているのかもしれません。
日本の場合、せっかくお金をかけて接待をしたのに新規顧客の取引につながらなかったらムダ金になってしまい、営業担当者の評価はガタ落ちでさらに責任を問われかねません。
営業担当者は「損をしたくない」ので、必然的に損をするリスクが低い既婚の大口顧客」に接待費用をかけて責任追及を免れようという思考回路になります。
減点方式の文化なるがゆえ・・・です。
アメリカ系企業の場合は、担当者に最初から予算が与えられていてその予算をどう使おうが自由だと言われます。
そして、うまく使って成果を出せばそれが得点になります(うまくいかなくてもお咎めなし)。
だから「得をしたい」と考えて、新たな取引先となる見込み客に接待費用をまわそうと発想する慣習が生まれたのだと考えられます。
得点方式の文化なるがゆえ・・・でしょうね。
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日本でも、一部の企業などでは「新規を対象」に接待が行なわれる場合があります。
その特徴として面白いのは「権限が経営者にある/一端の担当者(サラリーマン)にその権限はない」ときに多く見受けられることです。
経営者・オーナー・社長・店長などであれば接待がうまくいかなかったとしても誰も責任を追及することがありません。
だから、安心して接待費用を新規顧客に向けて使うことができます。
お得意様に対する「お礼」としての接待をするのか、それとも新ビジネスのための「投資」として接待をするのか?
両面作戦で行なっていくことが一番だと思いますが、昨今の経済下ではそうした接待自体があまり行なわれにくくなってきています。
いずれにしても私は「減点主義よりは得点主義」のほうに分があると思っていますし、経営やマネジメントは得点主義に重きを置いて行なうほうがベターだと思っています。