「仕事は何のためにするのか?」ということが禅問答のようにあちらこちらで議論され、ビジネス書や雑誌等でも繰り返し取り上げられます。
各人によっていろいろな説明がされていますが、私が思うに、経営者やリーダーに強く意識しておいてもらいたいのは、「仕事は別の仕事を減らすためにする」という考え方です。
残念なことにこの考え方・思考法をまったく頭に入れていない経営者/リーダーは多くいて、ただ何となく刹那的に仕事をしている(部下にさせている)人はとても多いと思います。
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会社で何かを始めようとすると当然、仕事が増えます。
でも、その増えた仕事は何のための仕事か?というと、企業経営的には「利益を増やす(利潤の追求)」と「理念の実現」のためです。
これはこれで正しいことです(なぜならそれが企業の目的だからです)。
もう一つの観点、組織運営上で言えば「今までの仕事を少しでも軽減するため」・・・となります。
そうでないならタダの自己満足に過ぎない仕事になり、組織運営上の仕事ではなく、リーダーの個人的満足・欲求を満たすための作業ということになります。
そう考えると、会社内で仕事が増えるときには「この仕事によって、今までの仕事の何が軽減されるか?」もしくは「この仕事をするために今までの仕事のどれを切り捨てることができるだろうか?」をリーダー自身が理路整然と答えられるようでなければなりません。
これができなければ、部下にとってはただ業務量が増えるだけで、今まで以上に無理をして仕事をする(させる)だけになります。
それなら、別の人を雇うほうが筋が通ります。
リーダーの自己満足のための肥大化された仕事だと部下が気づけば、部下は真剣についていこうとはもう思わなくなります。
特に若い人たちはコスパやタイパが流行語であるように「スマホを使うとこう便利だ」「SNSでつながるとこう良いことがある」といった利便性や効率性が身についていますから、無駄な非効率化には敏感です。
年配の責任者や先輩が「オレたちの時はもっと大変だったんだぞ。もっと気合い入れてやれ!」と言ってもピン!とこないし頷く気にもなれません。
昔の根性論を持ち出してもまったく通用しない時代です。
昔はこうだった/自分たちも苦労した・・・と説教されても、「だったら今それを工夫して新しく変えるのがあなたの仕事だろう・・・」と内心で思われるだけです。
「以前に比べて今はラクになったなあ/昔はあんな大変だったけど今はこんなに簡単にできるんだね」と言って、部下と同じ方向を向き、ベクトルを合わせることが大事です。
それが本当の「仕事の結果」です。
「今がんばればきっとラクになる(かもしれない)」・・・ではなく、「今これをやることで、今後こうした大変さがなくなるよ」といった即時的な効果があればなお有効です。
「仕事は仕事を減らすためにやる」という発想をもったリーダーが多く現れれば、その会社は発展する可能性大だと思います。