古代アテネの政治システムには「陶片追放」というものがあったそうです。
これはどんなものか?というと、追放したいと思う人の名を陶片に書いて投票できる制度だったようです。
実際、アテネ市民が「陶片追放」によって現職のリーダーを市外に追放するようなことがあったと。
言わば「独裁者の誕生/鎮座を防ぐための自浄システム」だったわけで、市民の過半数が認めればその人をアテネから追放できたというのは非常に注目すべきことだと思います。
また、その追放は10年という期限が設けられていて、追放された人は期限が経てばいつでも戻ることができたそうです。
独裁者が独裁者たり得ないようにする意味でも、また一度過ちを犯したとしても時間をおいてその人をリセットするという意味でも、とても良い制度だったような気がします。
考えてみれば、どんなに評判の良い政治家といえども権力に胡坐をかき長期政権を続けていくと何かと独裁色が生じてくるものです。
周囲の忖度(そんたく)という余計な悪の芽が生じることもあります。
これは政権でも会社でも同じで、協会や財団、社団法人などすべての組織において言えます。
そうしたことを取り除く意味で、この古代アテネの政治システムは現代社会において参考になる点があるように思えます。
まあ、アテネではやがて国益を損なう追放も何度か発生したという弊害からこの制度は廃止されたそうですが、時代を経て改めてこの制度を検討・模索してみる世の中になったような気もします。
・・・・・・・・
「陶片追放」とはかなり違いますが、表面的には少し似ていた風習が日本にもあります(ありました)。
「村八分(むらはちぶ)」と呼ばれるものです。
かつて日本の村落に多くあった仕組みで、その村での従前からのしきたりを無視したりルールを破った村民に対しては他の村民が結束してその者と絶交する、というやり方です。
なぜ「八分」というのか?
これには諸説あるようですが、火事と葬式の2つだけはこれまでどおりに行なうけども、それ以外の残りの八分(成人式、結婚式、出産、病気の世話、新改築の手伝い、水害時の世話、年忌法要、旅行)は絶交したからそう言われるようになった・・・とか。
「陶片追放」と「村八分」・・・この考え方を応用すれば会社内における職場の不適格者を自浄できるかもしれません。
社員の過半数または部門社員の過半数がその「追放箱」に投票すれば、該当者の役職を剥奪することができる・・・というのはどうでしょうか。
剥奪期間は10年というのはちょっと厳しいので2~5年くらいが妥当かもしれません。
また、国家においてや国際的な機関においても、そうした制度を設けて特定の人物や国を期限付きで追放できるようにするのも一手だと思います。
温故知新です。
不適格な人物・国家については他者がキチンとそれなりに意思を表明する機会があること、そうやって罪と罰を与えることで一種の抑止力を働かせるようにする・・・というやり方は検討の余地があると思います。