「真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である」
ナポレオン・ボナパルト(フランスの皇帝)
ビジネスはしばしば「戦い」に置き換えて話されますが、そんな戦いでは上記ナポレオンの言葉どおり、有能な敵を恐れるよりも無能な味方を恐れるほうが適切である場合があります。
会社組織でリーダーがよく直面するケースですが、実際、私も現役時代にはよく遭遇して頭を悩ませることがありました。
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部下の中にはやたら正論を振りかざして「自分は正しく、相手が間違っている」ということを強調したがる人がいます。
物事を過去に引き戻し、重箱の隅をつついて指摘し、現実を逃避をして机上の空論をまき起こし、ムダに時間だけを浪費させる無意味な行為です。
「指摘」というのがここではポイントなのですが、実はただのやっかみだったり、ジェラシーだったりすることもよくある話です。
客観性と総合的視野からの指摘というのはなかなかに難しいことで、これができている部下は少数ですし、そうした部下はいずれ上司になっていく素質があります。
ダメな部下の指摘は一見親切に見えることもありますが、「総合的に誤った視点」というケースもよくあります。
一部分から見た場合だけの局所的話・・・というわけです。
世間では「理外の理もまた理なり」という言葉が活きることがよくあります。
自分の能力では「理外」と思えることも他の賢者の目から見ればまったくもって理外ではなかったりします。
自分の狭い観点だけで物事を見るのと、リーダーの大きな観点で全体を視ているのとでは次元が違います。
正論っぽく聞こえることも、実はある部分だけを切り離したときだけ通用する正論だというのではうまくありません。
世の中に氾濫する「一見、正論ぽく聞こえる意見」にも一理あるかもしれませんが、あくまでも一理止まりであればそれを真に受ける必要はありません。
最終判断は「リーダー自身」にあります。
まわりの意見は「判断材料にすぎない」わけです。
目の前の現象に意味を与えるのは自分自身・・・だと知り、部分最適よりも全体最適を優先することで総合的に有効なジャッジを下す姿勢が大切だと思います。