管仲(かんちゅう)の言行録である『管子(かんし)』にこうあります。
あるとき、君主の桓(かん)公が管仲にこう聞きました。
君主が信頼されるとはどういうことか?
管仲はこう答えます。
「人民からは慕われ、隣国からは親しまれ、天下の人々からは信頼されることです」
「そのためにはどうすればいいのか?」
「まずは、ご自身の修養をされ、次に国を善く治めることです」
「修養とは?」
「お体に気をつけ、度量を広く志を高く持つことです。
さらには仁をはじめとした徳を積み、いかなる時も血気にはやらないことです」
「国を善く治めるにはどうすればよいか?」
「良い人材を集めることです。
人民をかわいがることです。
経済を発展させることです。
道徳教育を盛んにすることです。
税金を軽くすることです。
これらを実行されれば、自然と天下を統一することができることでしょう」
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そっくりそのまま企業におけるトップリーダーの経営姿勢にも言えると思います。
現代の政治家にももちろん言えますね。
リーダーが信頼されるとは?
→ 社員からは慕われ、地域からは親しまれ、広く信頼されること
そのためにはどうすればいい?
→ 社長がキチンと修養し、経営の舵取りを責任もって行なうことです
では、その修養とは?
→ 健康に留意し、度量を広く、志を高く持つこと。さらには思いやりをはじめとして、義理堅く、礼儀正しく、知識・知恵を持ち、信頼される人物になることです。
では、経営するとは?
優秀な人材を集めることです。
社員を大切に扱い、利益を伸ばすことです。
社員の研修教育も忘れてはいけません。
また、残業や休日出勤などは極力避けるようにすることも大切です。
このように言い換えることができると思います。
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管仲は、君主が陥ってはいけないワナについて3つの戒めを挙げています。
1.対外的には、自国の利益ばかりを考えていては諸侯の支持を得られないでしょう。
2.対内的には、税金を取り立てているばかりでは人民を慈(いつく)しめないでしょう。
3.王ご自身のことですが、自分の耳に心地良い言葉ばかりを重用して、耳に痛いことを発する者を遠ざけてはいけません。
それでは、真の情報を得られなくなるでしょう。これらもまた、現代の企業経営者に向けてそのまま通用することだと思います。
企業トップが陥ってはいけない戒めを管仲に倣って3つ挙げるとすればこうです。
1.自社の利益ばかりを追求してはいけない
2.社員を酷使してはいけない
3.イエスマンばかり配置してはいけない
管仲が戒めている独善的、高圧的、排他的な態度・姿勢というのは、リーダーとしての人間力を低下させます。
哀れなリーダーになっていきます。 弊害に気づかず、会社を衰退させます。 尊敬心のない、面従腹背社員だらけの組織にしてしまいます。
そうならないように、リーダーは自己に厳しく律することが大事ですね。