ギリシャが生んだ偉人にソクラテスがいます。
ソクラテスの遺した本はいくつかありますが、そのすべてがソクラテス以外(弟子のプラトンなど)が師匠の言行録として記した書物だと言われています。
そのソクラテスが試みていたのは「どう相手に語れば相手を正しい思考に導き、真理に到達させてあげることができるだろうか?」・・・ということです。
そこから編み出されたのが有名な「ソクラテスの産婆術」と呼ばれる手法です。
主に人材育成を考えたときに用いられる手法で、簡単に言うと次のとおりです。
1.まず、キーワードを相手に定義付けさせる
2.相手に自分の頭で考えさせる
3.三段論法を駆使して正しい考え方を示す
4.新しい発見に至らしめる
言葉の定義、論理的思考、分析的な考え方などの基本的な姿勢をレクチャーしていきながら、後は相手に考えさせることで答えを導かせるわけです。
言ってみれば、ソクラテス自身は補助的な役割に甘んじて、相手が自ら答えを出せるように・・・新しい発見を生ませるための産婆さんに徹するわけです。
それには根気強く相手に付き合うことが必要です。
なぜなら、知の創出という出産には時間がかかるからです。
ソクラテス自身が答えを出すのなら簡単で早かったのでしょうが、それでは相手が成長しません。
ソクラテスが大事にしたのは「答え」そのものではなくて、相手が自分の頭で考えて心から納得できるような答えを出すことでした。
なぜなら、そうすることで相手はより真剣に、本気になって次に大切となる行動に取り組むことができるようになるからです。
「ソクラテスの産婆術」の考え方は時間を必要としますが、企業活動や政府の人材育成にも通じる普遍的な方法だと思います。
人を導く・・・というのは、そうしたリーダーの触媒的な姿勢が大切ですね。
ギリシャ・・・偉大な文明や哲学者を輩出した国ですから、その英知を受け継いで今現在、そして後世にも遺していってもらいたいものですね。