孟子が、慨世(がいせい)の思いを込めて魏国の恵王に忠言した言葉に「歳(とし)を罪することなかれ」というのがあります。
「人民が死ぬのは為政者の私のせいではない、凶作になった歳が悪いんだ、とか、自分で戦争を起こしておきながら、多くの兵士が死ぬのも自分が悪いんじゃない、兵士同士が殺し合っているのだから兵士の罪である・・・とウソぶくのはおやめなさい!」
という諌言だったようです。
この故事から「歳を罪することなかれ」は「責任転嫁をしてはいけない」という意味で用いられるようになりました。
政治に限らず、企業でも同様ですし、家庭においても同様です。
子どもの受験でも同じことが言えます。
責任転嫁して、うまくいかなかった(失敗した)のは自分に原因があるんじゃなくて、他に原因があるんだ!・・・というのは、現実を素直に見切れていない証拠です。
どんな局面でも、自分以外のところに非がある・・・といって責任を自分から外そうとすることはうまくありません。
常に自己責任の原則で生きる姿勢が大切であり、決して「歳を罪することなかれ」です。
会社でも政治でもプロジェクトでも、責任を放棄してはリーダーは務まらないし、自分自身の責任者たる資格を失ってしまうことになります。
本人は自業自得ですが、災難なのはそれによって振り回されてしまう周囲の人たち・・・信じてついてきている人たち・・・です。
「歳(とし)を罪することなかれ」の精神で上に立つ人はリーダーシップを発揮してもらいたいものですね。