12月2日の今日は、プロ野球選手の沢村栄治さんの命日であります。
ご存じの方も多いと思いますが、プロ野球のその年度の最優秀投手に贈られる「沢村賞」の由来になった人です。
スパイクの靴底が見えるくらい足を高く持ち上げる独特の投球フォームが特徴的で、今の時代でも通用する剛速球を当時投げていたそうです。
国民的英雄だった沢村選手ですが、時代の流れには逆らえなかったようで、太平洋戦争の最中に何度か徴兵され、手榴弾を投げさせられて投手の命である肩を痛めたり、銃弾が手を貫通したり、マラリアに感染したり・・・と、戦場で身体がボロボロになって帰ってきたそうです。
その後、負傷した肩をかばうように投球フォームを余儀なく変えていったそうですが、やがて巨人軍を解雇され選手を引退します。
結局、1944年に輸送船に乗船中に潜水艦に撃沈され27歳の若さで戦死されました。
そんな沢村選手が、戦地に向かう弟に対してこんな手紙を送ったそうです。
「人に負けるな。
どんな仕事をしても勝て。
しかし、堂々とだ。
苦しい、そして誰にも言えない事はこの俺に言ってくれ」
半世紀以上経った今でも彼の名前が語り継がれているのは、単に投手としての成績だけでなく、彼の生き様や考え方に多くの人が励まされてきたということもあったのかもしれません。
戦時中にかかわらずどんな時代でも言えることですが、時代の流れで職を失ったり、誠実に努力してきたのになぜか理不尽な目に遭うといったことは誰にでも起こりうることです。
その時に「なんで俺だけが・・・」と恨み節の一つも言いたくなるかもしれません。
でも、どんな時代に生まれようとも、どんな境遇に遭おうとも、心の中は自分次第です。
そこで悩み苦しんだ経験は一生の糧となります。
年末に入り、年明けや春先から自分の境遇が大きく変わる人もいらっしゃると思います。
どれだけ周りが変わろうとも自分の中にある大切なものを手放さないことが大切です。
自分を守るのは他の誰でもない「自分自身」のハズです。
賢い自分、強い自分、優秀な自分である必要はありません。
その時代時代にうまく適応していけるだけの柔軟性と自分を見失わない信念を持った生き方ができる自分であれば良いと思います。