1961年1月、第35代アメリカ合衆国大統領に就任したジョン・F・ケネディが各国の記者団相手の会見に臨んだ際、ある日本人記者がこう質問しました。
Q. あなたが日本人で最も尊敬する政治家は誰ですか?
ケネディ大統領はこう答えたそうです。
「YOZAN UESUGI」 = 上杉鷹山
ところが、残念なことに、当時の多くの日本人記者は肝心の「上杉鷹山」を知らなかった・・・とか。
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上杉 鷹山(うえすぎ ようざん)は江戸時代中期の大名で、米沢藩(現在の山形県)9代藩主であり、米沢藩政改革を行った名君として知られています。
鷹山は17歳で家督を相続しますが、当時の米沢藩は莫大な借金をかかえて身動きが取れない状態でした。
「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉が有名で、ビジネスや経営の場でもよく出てきます。
ケネディ大統領が、米沢藩の財政をV字回復させた名君上杉鷹山を知ったのは、内村鑑三著の『代表的日本人』とも言われているそうです。
その著書の中にはこんな話が書かれています。
米沢には『棒杭の商い』と呼ばれるものがある。
人里から離れた道の傍らに、草履、わらじ、果物や他の品物を、値段をはって並べておくが、持ち主は誰もいない。
人びとはそこへ行って正札どおりの金を置き、品物を持ち去る。
だれも、この市場で盗難が起こるとは思っていない。
これは「徳治」です。
ケネディ大統領は当時、こうした徳治に何を見出したのかわかりませんが、日本は昔から世界でも珍しい「徳」の溢れた文化を持つ国だと言われます。
街で落とし物/忘れ物をしても交番に届けられ、落とし主にキチンと戻ってくる・・・ことに驚く外国人は枚挙に暇がありません。
最近はそうした「徳」の効力も徐々に弱まってきたように思えます(そう思えるのはとても残念なことです)。
国家も、「人治国家」→「法治国家」→「徳治国家」の順で昇格していきます。
人治国家はコネ・賄賂が横行しています。
法治国家では人の上に法があり、人は法の下に平等です。
世界にはまだまだ「人治国家」が多く存在し、規模では大国であっても「徳治国家」まで程遠い国もたくさんあります。
かつて日本は規模は小さいものの「徳治国家」に準じていた部分も多かったと思われますが、それも昔のこと・・・なのかもしれません。
遠い昔に忘れて置いてきたような「徳」を多くの国で身につけることができると良いですね。