
「ガラパゴス化」というのは、ダーウインの『進化論』におけるガラパゴス諸島の生態系になぞらえた一種の警句です。
孤立・閉鎖した環境でしか通用しない製品やサービスばかりを続けていると、外部製品との互換性を失い、需要がどんどん減少し、やがては市場から取り残され、最終的には淘汰される危険に陥る・・・ということを意味しています。
警句ですから、もちろんそうならないほうがベターです。
ところが、日本はいつの間にかそうした道を歩んでいる・・・と多くの人が警鐘を鳴らしています。
昔風に言えば「意図せぬ鎖国化」といったところでしょうか・・・。
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過日IMF(国際通貨基金)が発表した2024年度の世界各国のGDP(国内総生産)および1人当たりGDPによると、日本は38位までダウンしてしまいました(かつて世界2位だったことはもう遠い昔のことのようです)。
上位との格差も大きく広がっています。
スイス・シンガポール・アメリカなどと比べても約3分の1くらいの値です。
つまり、日本人はこれらの国の人と比べて3分の1くらいしか価値を生産できていないと言えます。
*GDPは商品やサービスがどれだけ生産されたかの経済指標
アジアで見てもシンガポールの他にも香港や韓国や台湾やブルネイにも抜かれています。
こうなると、もはや日本は世界から見れば経済活動の場として魅力があまりないということにもなりかねません。
雇われて働くにしても、起業してビジネスをするにしてもリターンを得にくい市場環境になってきた・・・と言えます。
かつて日本がバブル期でこの世の栄華を謳歌していた頃、日本人は東南アジア諸国を見て「物価は安いけど、給料も安くて貧乏な国」と思っていましたが、今では東南アジア諸国から日本がそう見られているとも言えそうです。
とても残念なことです。
そして、これは特に今の若い世代にとってかなり不利・ハンデ背負いのことだと言えます。
他国は少なからず成長しているのに比べて日本は5年連続マイナス・・・というのは、衰退する一方で将来性が感じられないといっても不思議ではありません。
昨年は1年で89万8千人も人口減です。
悪く言えば、救いようがないレベルに足を突っ込みつつある・・・ということです。
「脱日本」ということは富豪・お金持ちの人が以前からよく言ってきた言葉です。
日本で日本人向けの商売をやるのは、今後ますます先細りしていきそうで、世界を股にかけて外国人向け商売を考えるほうがベターと言う人も増えています。
インターネットやAIの普及はそれを十分可能にしてくれています。
すでにリタイア済みの人はともかく、今後の「働く人生/稼ぐ人生」がまだまだ長い人であれば視界を広げてもっと世界に目を向けることが必要な気がします。