大阪国際女子マラソンで優勝した福士加代子選手ですが、一気にリオオリンピック代表が有力となったこともさることながら、彼女が高校時代に恩師から言われた言葉のほうに私は興味を持ちました。
それが「負けたことに負けるな」という言葉です。
福士選手も常に順風満帆だったわけではなく、1位になれないときやマラソンが辛いときもあったはずです。
特に高校時代であればなおさらです。
そんなとき、恩師が投げかけたこの言葉は本当にそのとおりのことですばらしい言葉だと思います。
「今の勝負」に負けたという結果を受け、負けたことで自信をなくすのではなくてその現実を受け止めて「次の勝負」という未来に臨むことを見失ってはいけない・・・という意味だと思います。
負けたからこそ気づくことがあり、負けたからこそ次への課題がはっきりしてきます。
仕事に置き換えると「失敗した事に失敗するな」・・・でしょうか。
福士選手はそれ以外にも高校時代に「苦しい時に笑える選手になれ」と言われた言葉も大事にしてきたそうですね。
こちらもすばらしい言葉だと思います。
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人は、後々になって「あのときの苦労があったからこそ、今の自分がいるんだ」と思うことがありますが、やはり「そのとき」は辛いものです。
「あのときのおかげ・・・」と思えるのはずっと先のことです。
苦しみの渦中にいるときは、なかなか「この苦労・辛さは自分の糧(かて)となる」・・・とは思えないものです。
でも、そこをあえてそのように解釈することが重要であることを、多くの成功者たちは知っていますし、後世に伝え続けています。
だからこそ、まだその境地に達していない若い世代の人たちは素直にそれを受け止め、学び、吸収し、いざ自分がそうした局面に遭遇した際にはそのように無理やりにでも思い込む努力が必要だと思います。
人は、順境にいるとき歯を食いしばって上を目指そうとはしません。
歯を食いしばって上を目指すのはいつも逆境に置かれた(=ピンチ)のときです。
良い湯加減の温泉に浸かったときに歯を食いしばって何かを努力することはできないものです。
冷たい水風呂、熱湯風呂に入ったときには歯を食いしばってがんばろう! と思えます。
順調に事が運んでいるときは、努力の「ど」の字も思い出しません(まあ、それはそれでありがたいことなのですが・・・)。
つまり、満たされているときになかなか上のレベルへ向けて努力できる人は少ないし、むしろ満たされていないときほど成長するきっかけ・ヒント・チャンスに巡り会えるということです。
人は逆境を与えられるからこそより優れた自分になることができます。
人は辛酸を舐めたことがあるからこそ己の精神を磨くことができるのです。
この真理を理解し、どんなときもあきらめないことが重要ですね。
■福士加代子選手:関連情報
【リオオリンピック】福士加代子14位・田中智美は19位 女子マラソン(The Huffington Post:2016年08月14日)
マラソンなら言える!福士加代子、史上3人目の“金メダル獲るべ”(スポニチ Sponichi Annex:2016年8月14日)