荒れた学校や険悪な雰囲気の仕事場や独裁組織など、客観的に観て良好な状態とは言えない環境があります。
一般的に「悪」と概念付けされる人がそこには必ず存在しています。
ところが、排除する強制力がないために、人々はイヤな思いをしながらもそこにガマンして属しています。
なかなか解決できない問題の一つです。
そうしたときに役立つ大事なテクニックに「否定の中の肯定」というのがあります。
一見すると「全否定」しがちな悪人にも、探せば「肯定できること」が一つくらいはある・・・ということが前提になっています。
そこにスポットライトを当て、クローズアップしていわゆる「認めて」あげることをします。
解決はいつも「相手を認めること」からスタートします。
国家間の紛争も同様です。
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ある学校に不良グループがいて、いつも問題を起こしていました。
そんなある日、一人のスクールカウンセラーがやってきて、その不良グループの番長と2人で話をしました。
そこでカウンセラーはこんなことを言いました。
「君は腕っぷしも強そうだし、みんなを統率してリーダーシップもある。なかなかできることじゃない、それは見事なことだと思うよ。君なら将来ヤクザの組長になって大成できるのかもしれないな。
でもな・・・・・・お前についてきている奴らを見てみなよ。あいつらはおまえほどたいした器量を持っていないぞ。あいつらがお前と同じようにこれから先もうまくやっていけると思うか?
ヤクザ崩れは救いようがないぞ。あいつらの将来はお前にかかっている、ということを忘れるなよ。
お前は賢いから、自分の動向一つであいつらの将来も決まる・・・ということに本当は気づいているんだろ?
あいつらの将来はお前にかかっているんだよ・・・そのことだけは忘れないでほしい。今日言いたかったのはそれだけだよ・・・。」
これが「否定の中の肯定」テクニックです。
実際、その番長はその後不良グループを解散したそうです。
スクールカウンセラーはまず番長を褒めました。
番長は褒められることで相手を敵対視せず、とりあえずは耳を傾ける地合いができました。
そして、番長は自分の言動で友だちの一生が左右されるという責任に気づき、友だちの将来を心配して「不良グループの解散」という行動に出た・・・と容易に想像できます。
まあ、すべてがこのとおりにうまくいくとは限らりませんが、一つのスキルとして理解し、身につけておくことは大事だと思います。