
ローマのカエサルは借金王とも呼ばれたそうです。
カエサルは、「借金が少額のうちは貸した者が強者で借りた者は弱者だが、金額が増大していけばこの関係は逆転する・・・」という持論を持ち、そこを突いて借金をどんどんしていったとも言われているそうです。
カエサルにお金を貸したほうからすれば、カエサルに破滅されては大変だ!返してもらえなくなる!となるわけで、実際、最大の支援者(債権者)のクラックスがカエサルを全力で支えたそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ローマ人は「知力ではギリシャ人に劣り、体力ではゲルマン人に劣り、技術力ではエルトリア人に劣り、経済力ではカルタゴ人に劣る・・・」と自分たちのことを控えめに認めていたそうです。
それなのに、なぜローマ人だけが帝国を築き上げ、都合300年も帝国を維持し、長期にわたって支配し続けることができたのか?
ローマ人が他の国の人々よりも優れていたのは、「自分たちが持っているものを徹底的に活用する能力」だったと言われています。
自らの力量を知り、無いものは無い/劣る点は劣ると認め、その代わりに「有るものは徹底してそれを有効に使う」という点では、他の国の人より優れていたのだ・・・と。
→ これは自動車王ヘンリーフォードの話と被ります。
彼は大成功した後に、マスコミからさんざん「学歴がない」「幼稚な発想」だと叩かれ、裁判にもなり、延々と「いかに彼が経営者に適していないか」を詰められました。
ホトホト嫌気がさした彼は、弁護士を介せずに自分で直接答弁します。
「確かに私には何も無い。
しかし、私の机の上にはいくつものボタンがあって、そのボタンを押せば、あなた方が言う問題の一切を解決してくれる人を呼ぶことができます。
一流の法律のプロ、一流の機械工学のプロ、一流の経済学のプロ、一流の販売のプロ、一流のデザインのプロ、あらゆる一流のプロが飛んで来ます。
それなのに、どうして私にそれらすべての能力が必要なのですか?」・・・・・・と。
結局、裁判はフォードの完全勝利でした。
己の力量を知ることは「謙虚」に通じます。
ローマの版図を広げたのは敗者をも同化していくだけの寛容の精神だったと言われるように、自分と他者との違いを認め、互いに敬い、手を取り合って共存していくことが平和な暮らしを維持するために必要なことのような気がします。