
何かの商品もしくはサービスを買おうとしたけど、予算が合わず買えないとします。
そんなとき、「買うのをあきらめる」のも手ですが、交渉によって「値引きをしてもらう」のも一つの手として有効です。
問題は、その交渉の仕方です。
一番うまくないのは「その商品・サービスの欠点をつらつらと挙げて、だからこの商品にはその価格ほどの価値はなく、もっと安い価格が適切だ・・・」といった交渉の仕方です。
人は、そうした頭ごなしに押さえつけるような発言を自分に対する指示・命令と受け取ることが多く、仮に正しい点がいくつかあったとしてもまったくもって好きではないし共感しません。
素直に首をタテには振れないものです。
人は、経済的には合理的な行動をせず、感情で動き判断するものです。
その商品・サービスをガンガン褒め称え、持ち上げたうえで、とても欲しいのだけど予算的にここまでしか出せないので何とかならないか?と感情に訴えかけるほうがうまくいくと思います。
こうした発言を、人は命令ではなく依頼・お願いと受け取り、自分のほうが優位に立っていることを実感できるため、情にほだされて首をタテに振りやすくなるわけです。
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アパートの家賃に関してもこんな話があります。
家賃に不満を持つ入居者たちが、大家さんに家賃の値下げを要求するのですが、あっけなく却下されてしまいます。
そんな中である人だけは大家さんと笑顔で挨拶をかわし、自分がいかにこのアパートを気に入っているか、このアパートの素晴らしい点をいくつも取り上げて大家さんに伝えます。
そして、その後に今の家賃では自分の収入とのバランスが取れず、このままではいずれ立ち退かなければいけなくなると予想でき、それがこのうえなく悲しく残念だ・・・と伝えます。
それを聞いた大家さんはこう言います。
「このアパートに満足してくれている入居者さんがいるとわかって安心しました。
何せ、私の耳に入ってくることと言えば、入居者たちからの不満の声や家賃を下げろという一方的な要求ばかりでしたから。
それで、あなたは家賃がいくらなら払えるのですか?」
結局、この入居者さんは家賃を下げてもらえることになり、大家さんとの関係も良好でそのままずっと住み続けた・・・・・・というのがこの話のオチになります。
北風と太陽の話と同じだと思います。
人を動かすなら、強制的に圧力的に動かそうとするのではなく、その人の感情を揺さぶり、その人自らが動こうとしてくれるように仕向けることが大事だと思います。